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〜 Tea Break 〜 (不動産事業の内側)    
  
従って、最終的に問題となるのは、価格そのものではなく、決定された価格の合理性というか妥当性にあります。
ところが、不動産価格には一定の基準というものがありませんから、会議で決められた価格をどのようにして、それぞれが社内を通すかということが問題の本質になります。
皆、口には出しませんが、うるさい上司が居る場合には説得するために色々な策を考えますが、何よりもブロジェクト担当が苦労している、大変なハードな会議をしているという印象を作ることが必要です。従って、会議は堂々巡りでも時間の許す限り延々と続けられ、繰り返し開催されます。
このプロジェクトでは、夕方7時ぐらいから始まり、終電の時間まで続きました。 5〜6回は開催したと思いますが、会議の経過をそれぞれが社内に報告して、「そろそろ良いかな」 というところで妥協点を作り、販売価格を決めます。 それを各社が持ち帰って稟議を上げますが、渋る上司が居ても、今までの会議の内容(本当の内容ではなく、大変なハードネゴだったということが報告されています)で、大体通ります。 販売価格が決まると、次に建築費と設備仕様等の詳細打ち合わせになりましたが、事業主の1社が建築会社ですから、これもまた大変なのです。
わずか3u程度の内装タイルを決めるのも、1,000戸となると大きな金額になりますから、建築会社は渋ります。 この打合せは、販売価格の会議よりも更にハードになり、いつも終電時間を過ぎました。 こうなると、完全に体力と気力の勝負ですが、この会議は、堂々巡りというよりは、知識のぶつかり合いになります。

販売担当;住戸玄関は大理石貼りとしたい。
建築会社;大理石はかけた場合補修が難しいですから、止めた方が。
事業主B;タイルでも、大理石に負けないグレートがあるから、それにしますか。
建築会社;1,000戸分は在庫がありませんよ。
事業主B;うちで輸入しますよ。

ここで、しばらく沈黙が続いて、また別の仕様の話に移ります。
便器の洗浄方式の話や、窓ガラスの熱割れ現象、遮音素材の性能比較等、果てしのない話が続きます。最後の方は、明け方近くまで会議が続き、始発電車を待って帰るということにもなりました。
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