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2003. 9.11. Up Dated.
〜 Tea Break 〜 (不動産事業の内側)    
  
今回は、少し趣を変えて、Tea Breakと称して、不動産事業の内側をお話したいと思います。
皆さんは、不動産事業がどのように進められるか、内部ではどんなやり取りがあるのかということに興味があるでしょうか。
実際に中に入ってプロジェクトを進めていると、色々な人間模様や組織と個人の関係が浮き彫りになることもあって、後で振り返ると大変面白い仕事だったという感想を持つこともあります。
もうかなり前のことですが、首都圏で1,000戸のマンション開発をある建設会社から持ちかけられて3社共同事業になりました。
この事業で私が印象深かったのは、販売価格と建物仕様を決める打合せでした。
不動産事業の事業収支は、簡単に言うと[土地価格+建築費+販売経費+一般管理費+利益]で決まりますが、最終的に事業利益を捻出するのは販売価格です。 販売価格を引き上げれば利益は増えますが、価格が高すぎて売れなければ、利益どころが赤字になってしまいます。 理屈では、売れるであろう上限の販売価格がベストなのですが、実際にその販売価格を事前に算出することは不可能ですし、誰も正確には分かりませんから、販売価格を決定する打合せは延々と続く場合が多いのです。
会議では、「バナナの叩き売り」みたいな発言もあります。

事業主A;販売単価を2千円ぐらい上げても大勢には影響がないでしょう。
事業主B;上げるのは良いけど、それで予定した販売率を確保できなかったら誰が責任を取るの?
事業主A;それは販売担当の力不足でしょうから・・・。
販売担当;価格を上げるには、競争力を増す必要がありますから、建物の設備仕様のグレードを上げて貰わないと。
事業主A;では、半分の千円なら。

と、こんな会議が続きます。
実際の販売では、1戸当りの価格が5万円違っても大勢には影響は少ないですが、この論法で進むと、販売価格はどんどん上昇します。
このような会議で、あまり賢くない事業主は、自分の意見を通すことに専念してしまいがちですが、慣れた事業主であれば、実は、販売価格については内心ではほぼ同じ見通しを持っているのです。 誰もが避けたいのは事業の失敗なので、成功が絶対条件ですが、予定利益をどの程度にするかはそれぞれが属する組織によって思惑が異なります。
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