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2004. 3.25.Up Dated.
旧世代
  
私も団塊の世代の尻尾に当りますが、少なくともご都合主義だと思われたくはありませんので、REITアナリストを名乗って各銘柄の論評を続けています。そして、恥も少しは心得ていますので、長年携わった不動産では一切個人として関わったこともありませんし、JREITに関わってからも、JREIT投資には手を染めていません。
その私から見ると、今のJREITの株価は異常水準に達していると思えます。
なぜこのようになったのかは色々な理由が挙げられますが、直接の引金を引いたのは森トラスト総合リート投資法人の上場だと考えられます。また、その前に上場した野村不動産オフィスファンド投資法人にも原因があります。
私募ファンドの出口としてJREITを使う手法を明確に示したのは野村不動産ですし、森トラストはその手法に上場益をプラスしました。
DCF法という投資価値を積算する鑑定価格に基づくNAV(純資産価値)の実に44%増しという公募価格で売り出したことで、不動産投資価値と株価が切り離されることになりました。不動産鑑定価格が絶対ではありませんが、少なくとも不動産投資価値は鑑定価格と近似か、または、擬似復帰価格を考慮するとやや過大な評価額になっていると考えるのが普通です。
一方の株価は、配当利回りだけで動くようになってしまい、不動産投資価値と乖離がますます大きくなっています。
今は、それによって株式を上回るキャピタルゲインを実現していますが、投資価値との乖離によって生じた一時的な現象だと言わざるを得ません。
この状況はいつか辿った道でもあります。不動産の価値と離れて転売を繰り返すことで生じたバブルと同じなのです。
JREITがわずか3年足らずで、このような状況になってしまったのは残念でなりませんが、今は、関わる人達の良識に頼るしか方法がありません。
また、資産運用会社は、自分達の運用している資産の投資価値を知っているはずですので、今の乖離について発言をする必要があると思います。仮に、何も発言せず、将来株価が下がれば資産運用会社の責任も重いのです。
日本のREITは、自家運用を認めず、外部のプロである資産運用会社に委託しているのですから、客観的な見方が出来るはずですので、こういう時こそプロとしての見識を示して欲しいと思います。
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