トップ
2003. 6.26. Up Dated.
−J-REIT株価推移をどう見るか(その6)−    
  
株価を見ていると、JREIT6銘柄の中では、NBFとJREが東西の横綱、JRFが人気のある大関、JPRは横綱を狙っている実力派大関といったところでしょうか。 投資家の方にとっては、各銘柄の本当の実力はこのような番付に合致しているのかを確認したいのではないかと思いますが、今回は、NBF・JRE・JRF・JPRの4銘柄を株価と決算から抜粋した数値(表1,2参照)との関係で考えてみます。

NBF/8951
株価とNAVの乖離率が22.73%、予想配当率4.26%で、長期国債とのリスク・スプレッドは 約3.8%と、現在は順当な水準ではないかと思います。 一時は70万円/口に迫る勢いがありましたが、その後調整があって、今の水準に落ち着きかけています。
この銘柄は、新規上場時に625千円/口という、NAVに対して25%プレミアムの価格で公募しましたが、上場後1年半近く経て、ようやく新規上場時の思惑が実現したとも言えます。
ファンド側では、60万円台前半〜65万円前後を一つの水準と見ているようでもあり、多分現状の株価に一応は満足しているではないかと思います。
投資家側から見ても、現状のパフォーマンスを維持してくれるのならば、長期保有銘柄の対象として考えられますが、今後のファンド側の動きが気になります。 2001年9月に同時に上場したJREは、既に増資を行っていますが、NBFは最大の資産規模を持っているにもかかわらず、増資が行われていません。 このままで推移すると、資産に占める借入金の割合が上昇しますから、いずれは増資しなくてはなりません。
仮に今年中には増資すると仮定すると、既存投資家にとっては希薄化が問題となりますが、発表されている次期予想分配金はかなり保守的な数字となっています。 全く根拠はありませんが、この予想分配金は増資したとしても変わらない数字を使っているという見方もできますが、それでも投資家にとっては、3,000億円規模に達した資産内容と運用体制等の評価が欲しいところです。
NBFの運用体制は、オリジネーターである三井不動産に全面的に依存していますから、投資家にとってそれが望ましいものなのか、また利益相反についてどう判断すれば良いかなど不明確な点もあります。 この意味では、NBFが、このような投資家側の視点に立っての説明責任をどのように果たすかが、今後の株価を左右する可能性があります。 現状で、増資もせず資産規模の拡大も緩やかにするのであれば、投資家にとっては安心できますが、 そのような選択肢はJREITにはあり得ません。
NBFは、公募型不動産投資信託という本来の性格に基づいて、必要な情報公開と説明責任を果たすのかどうかが、今後の株価を動かすのだろうと思います。 十分な説明責任を果たし、客観的評価によって保有資産と運用能力が高く評価されれば、リスク・スプレッドは現状より更に縮小し、優良銘柄として、3%前半の水準まで到達するではないかと思います。
次へ >>