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−J-REIT株価推移をどう見るか(その2)−    
 
投資口の追加発行に関するファンド側の問題

JREITのバランスシートを見ると、保有資産の資金は借入金と特定社債(これらをデットと言います)、そして投資口の発行(エクイティと言います)による資金調達で賄っています。  
デットの利息は、エクイティへの配当利率より低くなっていて、これによってエクイティの配当率を押し上げるレバレッジ効果を使って、現在の高い配当率を実現しています。  
従って、単純に出資口を増やしてデットを返済してしまうと、配当率が下降してしまいます。  
特に、2003年問題の影響でオフィスビルの稼働率と賃料水準の両方が下がっている状況下では、現状の配当率維持が優先課題ですので、単純な増資は投資家にとって不利益をもたらしますので、市場評価を下げてしまいます。  

本来であれば、高収益を生み出す新規資産の追加取得によって、この希薄化を避けることが出来るのですが、既保有資産の収益の低下が見込まれていて、この低下分を埋める原資に新規取得の収益が回ってしまう可能性があるのです。このため、せっかくフォローの風が吹いていても増資が難しいというのが実態です。  
残された手段は、
1.既存投資家の反発を受けても、株価の沈静化を目的として増資を行う。
2.借入金より利息低い特定社債を発行して金利差を得て、小幅な増資を行う。
しかありません。 既存投資家から見れば、短期的には、1はマイナスしかありませんから、株価沈静化という名分が投資家に受け入れられるどうか疑問です。 その点、2は特段の問題がありませんが、小幅増資ではファンド側にもあまりメリットがありません。
他にも、次期予想分配金を保守的に見積もっておいて、期中の資産追加取得による収益増と既保有物件の収益低下を厳密に計算して、配当金の低下が起きないような増資を行うという方法もありますが、これは冒険ですので実際には難しいと言えます。

そこで、このような状況を前提にして投資家はどう考えどう予測していけば良いのか、これが重要ですので、次回にもう少し堀り下げて解説したいと思いますが、考え方としては各銘柄の実力を見ながらの個々の判断になりそうです。 それぞれファンドが保有している資産の詳細と運用体制、そして運用戦略と具体的戦術によって投資家の利益が異なりますので、まさにモニタリングと言えるのではないかと思います。

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