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2003. 5.29. Up Dated.
−J-REIT株価推移をどう見るか(その2)−    
 
J-REIT銘柄モニタリングの重要性

現在のJREIT株価は高いのかそれともまだ上昇するのか、またどういう点を見る必要があるのでしょうか。登場してまだ2年も経っていないJREITでは分からないことばかりという方が多いと思います。  
2003年5月15日現在の個々の株価を見てみると、上値がNBFとJREの664千円/口で、下値がOJRとPICの524千円/口と測ったように価格が揃っています。これでは個々の銘柄の特徴を市場の値動きから探ろうと思ってもヒントがありません。市場もJREIT全体については好感を持ちながらも、個々の銘柄の評価となると単なるブランド評価という感があります。NBF:三井不動産/JRE:三菱地所/OJR:オリックス/PIC:中央三井信託銀行とケン・コーポレーションと各JREITファンドのオリジネーター(設立母体)のブランドをそのまま評価しているだけではないかとも言えます。  
元々、JREITはオリジネーターからは切り離された資産集合体であって、オリジネーターとの利益相反をいかにして避けるかが重要なポイントだと言われていますが、それなのに市場評価はオリジネーター企業の評価に左右されている感があります。これは穿った見方をすれば、各銘柄を比較するポイントが分からない、資産内容や運用状況のモニタリングデータがないということが原因なのかもしれません。

現在上場しているJREITファンドはWebサイト上にホームページを持っていて、様々なデータの情報開示を行っています。 また決算資料もかなりのボリュームで作成していて、情報量としては十分だと言えるかもしれません。 ところが、ファンド側が発信する情報の量は十分でも、これらの情報を投資家向けに分かりやすく翻訳し提供する機関がありません。 機関投資家などのプロの投資家であっても、それぞれが保有している資産を分析したり、運用状況を細かくチェックしたりすることは、内部にかなりの専門家を揃えていなくては不可能だとも言えます。
私の見るところでは、現在は機関投資家であってもムード買いという感じもしますし、一方、一部の大口投資家からはバブルではないかという声も聞かれます。ファンド側からも「高所恐怖症」という感想も漏れてきています。 これらは、客観的な分析データや中立的な評価というモニタリングデータが存在していないゆえの漠然とした不安感だとも言えます。
そこで、今後は、このサイトを改良してJREIT銘柄のモニタリングデータを提供する方向で検討しています。 当面は、このサイトでしかモニタリングデータの提供がないと思いますが、ここをきっかけとして同様の趣旨の提供機関が現れれば、投資家にとって非常に好ましい投資環境が作れますので、まず最初に分析情報や中立評価情報の提供を行いたいと考えています。

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