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2003. 5. 8.Up Dated.
−J-REITを考える(その4)−    
J-REIT本来の役割とは?
JRET関係のイベントや関連ニュース等を見ていると、まだら模様の認知度の実態が浮かび上がります。

◇JREIT最近のイベント
  • 2002年12月 全銀協より各金融機関へJREIT投資の会計処理基準の通達が出された
  • 2003年4月 東証がREIT指数を採用した
  • 2003年4月 MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターショナル)にNBFとJREの2銘柄が組み入れられた
  • 2003年4月 証券税制改革による個人宛配当課税の軽減(20%→10%)と源泉徴収方式の一本化
これら一連のイベントを見ていると、JREITにとっては投資促進の環境整備が進められているとも見えますし、MSCIへの組み入れによって国際的認知度も高まったと言えます。
但し、証券税制改革を除いては、主として機関投資家などへの投資促進策という面が伺え、どちらかと言うとプロ向きのイベントだとも言えます。
もちろんこれらの一連の動きはJREIT側も歓迎してはいますし、現に東証のJREIT株価は軒並み上昇しています。 この株価好調を受けて、どの資産運用会社の担当者の表情も明るくなっており、ようやく一息ついたという状態に見えます。

しかしながら、折角の好調に水を注す訳ではありませんが、好調ゆえにJREIT本来の姿へ邁進する姿勢が弱まることに、私は強い懸念を抱いています。

一昨年の9月に日本に初めてJREITが登場したときは、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品として、眠っている個人金融資産の呼び水として期待がありました。
実際、NBFとJREの公募では、多くの個人投資家が応募したようで、購入できなかった人も多かったと言います。
その後、米国のWTCテロの影響などによりやや低迷しましたが、高配当率に注目したプロの投資家(一般企業や地方銀行等の法人投資家)の買いが集まり株価を戻しました。
大口投資家が増えたことで増資環境も整い、JREとJRFの2銘柄が増資を行い無事成功させましたが、この間にJREIT側も証券会社も個人投資家への思いが冷めてきたようにも見えます。
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