トップ
−不動産投資とは何か(その4)−

不動産特定共同事業法商品への投資(住友不動産のSURF等)

不動産特定共同事業法商品とは、いくつかの方式がありますが、その大半は、商法上の匿名組合を利用して出資金を募集するという方式になっています。
この匿名組合への出資は、J-REIT等のような有価証券投資ではありませんので、J-REIT出資のような公開市場での流通性はありませんから、内容的には現物不動産への投資と考えておくべきです。
簡単に言うと、原型は複数の人が共同で資金を出して不動産を購入するという投資形態ですが、実際のしくみは、匿名組合という器を利用して、投資家は出資金を匿名組合に払い込み、募集した不動産会社が営業者として出資金を元にして不動産を取得し運用を行うというしくみを持っています。
最も良く知られている住友不動産のSURF(サーフ)を例に取ると、出資者へのいろいろな配慮がなされていて、現物不動産投資でありながら、不動産リスクを軽減するしくみも持っています。


但し、これらのしくみも、すべて、募集する企業の信用に依存しているという点に注意が必要です。 万一、募集した企業が倒産した場合には、これらのしくみは機能しませんし、出資金も一般債権として扱われますので、今日、大半の不動産企業がオーバーローン(保有資産価値よりも借入金が多い状態)ですから、出資金の返還は難しいと考えておく必要があります。 このことからも、不動産特定共同事業法商品のしくみは、募集企業の信用状態の上に成り立っているという理解が必要です。
反面、募集企業を全面的に信用して出資した投資家に対して、損をせず儲けられるしくみを提供するというやり方は、リスクとリターンを一緒に享受するという本来の投資というよりは、生命保険や預貯金的な感覚に近い投資商品だとも言えます。



既に3,000億円超の規模に達している発行実績を見ると、中高年齢者等の素人投資家もかなりの数に上っているようですが、これは投資という感覚よりは、募集企業を信用して出資しているということなのかも知れません。
本来であれば、不動産特定共同事業法商品の出資に際しては、投資家自体にも不動産の知識を必要としますが、実際の購入例を見ると、不動産の素人であっても投資しているようです。

<< その3へ

次へ >>