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2024. 3. 1.Up Dated.
なかなか言えないこと

 投資市場を理解する為に、昨年から日本国内の情報ではなく、米国・欧州のニュースを中心にしてウオッチしています。
米国には独立系のアナリストが数多くいて、彼らは統計データを独自に分析して見解と見通しを発信していますので、これがかなり参考になります。
米国の実態についてはかなり懐疑的に見ている人も居て、最近では統計データに誤りがあるという指摘もしています。 特にCPI(消費者物価指数)や雇用統計の一次データから、加工された指数の不自然さを解説する人も居て大変興味深く聞いています。
このアナリストは様々なデータの分析から米国景気の実態は決して良くないどころか悪化しているという見解を持っていますが、これが株式市場に反映されていないという点を指摘しています。
即ち、米国の株式相場は史上空前の水準にまで上昇していますが、これは経済の実態を把握せずに浮かれているだけだと指摘しています。
米国の統計データだけでなく、中国の統計データまで引用していて、世界に何が起こっているかを解説していて、以前から確実に景気後退局面に入っているという指摘をしています。実際に英国とドイツは景気後退局面になっていますし、日本も2/15の内閣府発表では景気後退局面に入っていると報じられています。
中国の政府発表の信頼性は低いですが、製造業指数が低下していて、世界の製造業の中心地の中国の生産力が低下していますから、世界的に需要が減少していることを裏付けています。
また別のアナリストからは、ニューヨークマンハッタンのオフィスビルが1ドルで売却された点に触れて解説しています。 売却したのはカナダの年金基金で、マンハッタンの中心部に保有していたオフィスビルの持分(29%)を1ドルで売却しました。NYのオフィスビルの平均空室率は20%を超えていて、稼働率は80%前後まで低下していますから、この稼働率では賃貸収支は赤字になっています。更に将来的にも稼働率回復の見込みがないと考え、1ドルで売却したという事です。
商業不動産の差し押さえ件数も1月には昨年同期の2倍に上昇していて、オフィスビル市場の悪化を示しています。
これらの事があっても、米国も日本も株式相場は史上最高値になっていますので、これが問題なのですが、これ以上踏み込んだ指摘はなく、株式市場は実態と乖離してバブルになっていると指摘するのみです。
独立系アナリストも機関投資家も同じようにデータ分析を行っていますから、投資市場だけ独り歩きをしているという見方は不自然です。
合理的に考えれば、投資市場の指標も間違っていると考えるべきですが、これが中々言い難いのです。
私は以前から相場自体がフェイクで操作されていると指摘していますが、このように考えると虎の尾を踏んでしまいます。
仮に株式指標がフェイクだとすれば、それは東証や証券会社だけで作れるものではなく、政府や指導官庁も絡んでいると考えることになります。換言すれば、フェイクの本丸は政府だという事になりますから、社会全体のシステムを疑う事になり、今の世界のシステムを根底から否定することに繋がります。
ここまで行くと流石に恐ろしくなりますから、その手前で止まっている人が多いのだと思います。
この状況は日本も同じで、今の状態を不自然に感じる人は多いと思いますが、更に踏み込んで考えていくと、恐ろしい結論に突き当たるので、躊躇してしまっているのだと思います。
冷静に考えれば社会システムそのものがフェイクであっても、今の生活が極端に脅かされることはなく、新たに真っ当なシステムに作り変えていけば良いだけですから、詰まるところ現状に浸っていたいと思う人にとっては恐怖なのでしょう。
勿論、どのように考え判断し行動するかは個人の選択に委ねられていますから、どのような見方もあり得ますが、自分の選択の結果は自分で受け取らなくてならないという点に留意する必要があります。
後になって、自分は騙されていた知らなかったという抗弁をしても何の救いもありませんから、自己責任で判断して選択をするという覚悟が必要だと言えます。


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