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2023. 6. 2.Up Dated.
米国債務上限問題について

 米国債務上限問題とは、米国政府が借金できる限度額を引き上げないと、国庫の資金が枯渇してしまい、最終的には米国がデフォルトになってしまう問題です。
この件について日米では大分捉え方が異なるようです。
日本のメディアは債務上限が引き上げられるかに関心が集まっていますが、米国では債務上限が問題ではなく、米国の厳しい現状を注視しています。
一応米国時間で5/31に債務上限を撤廃する法案が米国下院では可決されたようで、日本のメディアは大々的に取り上げています。
未だ上院が残っていますから、こちらを通過しなくては成立しませんから、これで問題が片付いたと思うのは早計です。
更には債務上限撤廃には厳しい予算削減努力が前提になっていますから、既にマネーサプライがマイナスになっている現状をみればとても楽観できる状態ではありません。
このため6/1(米国では5/31)の株価の動きは日本の日経平均株価が上昇(前日比+260.13円) しましたが、NYダウは-134.51ドル下落と明暗を分けています。
米国では今後予算削減の一環とて国立公園の閉鎖や不要不急の役所等も業務が停止すると見込まれています。
即ち債務上限が撤廃されても、ドルをばら撒く事は出来ませんから、株式市場は米国の借金が膨張するというリスクをカウントしているようです。
それに新たに借金する為には国債を発行しなくてはなりませんから、当然金利は上昇しますので、景気の下押し圧力になります。
そして誰が米国債を買ってくれるのかという問題があります。従来の大口買い手であった日中は保有米国債を売っている状態ですし、産油国は既にドル離れになっていますから、大口の買い手が見つかるのかという問題があります。
米国内の金融機関にそんな余裕はありませんから、個人に頼るしかありません。個人が引き出した預金を短期国債に換えているので、これが唯一の消化方法なのかもしれません。
但し、個人は長期国債には手を出さなくなっていて、1ヶ月、3ヶ月の短期国債に集中していますから、短期国債で借金すれば直ぐに利払い返済で苦しくなります。
要は日本のメディアの論調のように一件落着では全くなく、今後も尾を引き続ける深刻な問題なのです。
私の見方としては、今後も米国ではドタバタ劇が続き徐々に追い詰められていくだけだと見ています。
何しろ米国がデフォルトしてしまえば、直ぐにNASARAが来て米国もハッピーになりますから、もう少し苦しい状況を味わう必要がありそうです。何処まで追い詰められるのかは分かりませんが、一件落着はもう少し先になるのだと思います。
では日本はと言うと、既にGESARAが発動されていると言われていますから、米国の動きとは関係なく日本は独自の動きになっていると考えられます。
その意味では米国の問題は対岸の火事ですからゆっくりと推移を見守っていけば良いと言えます。


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