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2018.10.12.Up Dated.
自然災害について

 今年は自然災害の多い年になったようですが、未だ台風の襲来が終わった訳ではなさそうですから、これからも注意が必要です。
自然災害が発生すると、投資法人はいち早く被害状況の報告をHPに掲載しますが、発表では収益に与える影響は軽微という内容が大半です。
投資家にとって分配金の変動は重要な情報ですから、速やかに報告するのは当然ですが、一方で被害の状況報告も大きな意味があります。
REITの保有物件は建築基準法や消防法等の基準をクリアしている事が前提で、取得時にはエンジニアリングレポート(建物診断報告)を取っていますから、法規制は充足しているのが当たり前です。
これらの規制通りの設計と施工が為されていれば、通常の自然災害では物理的被害が出ないはずなので、災害時の被害状況報告は重要な意味があります。
風害によって建物の一部が損壊したり看板が飛ばされたりしたら、それは建築基準法の基準をクリアしてなかったことになります。この被害が軽微であっても、その物件の取得を決定した資産運用会社の責任も問われますし、修復費用を単純に投資家負担に付け替えることも問題です。
REIT業界はこの辺りの事が曖昧で、投資家から厳しく追及される事も少ないので、決算期に修復費用として計上しています。
建物の被害が不可抗力なのかそれとも規制をクリアしていなかったのかを明確にして、仮に後者であれば誰が負担すべきなのかという問題になります。場合によっては、売主に瑕疵担保請求もしなくてはなりませんし、資産運用会社の善管注意義務違反であれば、資産運用会社が負担しなくてはなりません。
所が、資産運用会社が負担した例はなく、全ては投資家負担になっています。
通常は、毎年訪れるような台風の風災害で建物が損壊するはずはありませんから、建物被害の詳細報告は重要です。
被害が生じた場合、外部からの飛来物によって生じたのか、それとも建物自体の問題なのかを切り分けて報告する必要があります。
地震の場合も同じで、東日本大震災の大きさで建物は損壊することはありませんから、仮に被害があったら建物自体の性能が疑われます。
また設備関係の被害も同様で、配管等の断裂も基本的には生じませんが、厄介なのは地盤の液状化です。液状化する可能性のある地盤は事前に分かりますから、液状化対策の内容が問題になります。何もしていければ、それは投資家負担ではありません。
これ以上は専門的な内容になるので割愛しますが、少なくとも資産運用会社のコンプライアンス部門は、自然災害では自らの検証と見解を述べる義務があると言えます。
投資家に対して何の具体的活動も起こさないのは、費用の無駄使いになりますから、この辺りはもう少し厳密にチェックすべきです。
また社会的にも重要な役割があります。REITの建物が法規制をクリアしていれば、自然災害に対しての被害程度の基準になります。REITの建物に被害がないのに、一般の建物に被害があれば、それは自然災害ではなく、設計・施工上の人災だと言えますから、REITの情報は社会的にも有用です。
REITも発展してそこそこ大きな市場になりましたから、内輪だけの事を考えずに、社会的役割を意識して情報発信を行う時期に来ていると思います。


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