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2018. 9.21.Up Dated.
REITの分配金利回りの考え方

 REIT市場を東証REIT指数で見ると、1,750ポイント前後で膠着状態だと言えますが、投資口価格でなく利回りで見ると違った見方になります。
最近のREITの分配金利回りは全銘柄単純平均4.7%台/年で推移していますから、10年物国債利回りの0.1%/年と比較すると、4.5%以上のスプレッドが乗っている事になります。
一般的に、REITの期待利回りはリスクフリーの国債利回りに対して1.5%~2.5%の範囲内と考えられていますから、これから見ると割安という見方になります。
所が実際は日本国債ではなく米国債利回りをベースにしてREITの期待利回りが設定されているようで、米国10年債利回り(3.0%前後/年)で見ると、前述のスプレッドの範囲内に収まります。
日本の投資商品なのに米国債ベースというのも俄かに信じ難いですが、日本国債利回りは日銀の買入によって実勢利回りではないですから、市場取引の結果によって形成されている米国債をベースにするしかないという事情もあるのだと思います。
また東証REIT指数について少し視点を変えてみると、今年は賃貸市場の好調によってオフィスビルや賃貸住宅の稼働率が上昇したことで分配金を押し上げています。
分配金が上昇すれば、投資家の期待利回りが据え置かれても投資口価格は上昇しますから、東証REIT指数は上昇します。
REITのようなインカムゲイン投資商品は、投資口価格の動きで相場動向を見るのか、それとも投資家の期待利回り(=分配金利回り)で見るかですが、通常は後者で見るのが妥当です。
但し、分配金利回りデータも単純平均か時価総額の加重平均かによって異なりますが、個人投資家にとっては単純平均値の分かり易いとも言えます。
また可能であれば、上場投資法人をいくつかのカテゴリーに分けてそれぞれの群の平均利回りもあれば、より実態が把握出来ます。
個別銘柄を見ると、最も投資家の評価が高いと考えられる日本ビルファンド投資法人の分配金利回りは3.0%を常に上回っていますから、ここでも米国債利回りが利いていると言えます。
そして米国債利回りは利上げの方向に動いていますから、REITの期待利回りは下がるよりも上昇圧力の方が大きくなりますから、原則として今後の相場は調整局面だと考えるのが妥当です。


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