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2018. 8.24.Up Dated.
REIT相場動向の見方

 8月のREIT市場は、膠着状態にあるようです。各銘柄の日次の出来高をみると、前月と大きな変化はありませんから、恐らくREIT 市場の月間売買金額は前月の2兆円を若干割り込む程度ではないかと推測されます。
実は、REIT市場を東証REIT指数で見た場合と分配金利回りで見る場合はやや異なった様相になっていることが分かります。
東証REIT指数は投資口価格の動きを示しますが、一方国債や社債などの債券は利回りの動きを見ます。
国債・社債は償還までの利回りは発行時点で確定していますから、債券市場での価格の動きによって利回りが上下する仕組みになっています。
インカムゲイン投資商品は利回りが重要ですから、利回り動向が投資判断情報になっていますが、REITは株式に準じて価格の動きで相場動向を見ることになります。
勿論利回りが確定していれば、利回りでも価格でも同じ動き(利回りと価格は逆の動きになる)を表すので支障はありませんが、REITは利回りが確定していないという点が債券とは異なります。
即ちREITの配当金は賃貸市場の動向によって変動し、賃貸市場が好調な時は分配金が上昇するので、期待利回りが同じであれば投資口価格は上昇します。
従って、投資家が求める利回りは変らなくても投資口価格は上昇しますから、東証REIT指数でみれば相場は上昇傾向という見方になってしまいます。
一方、分配金利回りでは横這いとなるので、一体どちらが相場の動向を表しているのか迷いますが、分配金利回りデータというのは整理された形では公表はされないので、投資家は東証REIT指数でしか相場動向を判断出来ません。
この事は相場の見方に誤解を生む原因にもなっていますが、独自にデータを集積している機関投資家等と個人投資家の情報格差にもなります。
尤もREIT投資を行っている個人投資家にも独自に情報を収集して相場動向の補正をしている人たちも居ますから、REITに疎い個人投資家だけが誤解を抱えたままという事になります。
投資の基本となる相場動向がダブルスタンダートというのも困りますが、これもREIT投資のハードルの一つですから、REIT投資を行う人はこれを理解しておく必要があります。


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