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2018. 6.29.Up Dated.
次の投資家セミナーについて

 6月恒例のJREITセミナー2回を終え、少しほっとしていますが、次は大阪開催のセミナーが8月に予定されているので、その構想を練っています。

次は、REITの原点に戻って、それぞれの銘柄の良否をどのように見分けるのかという視点を盛り込もうと考えています。
REIT設立時から、投資法人の良否は「保有資産の内容」と「資産運用力」に拠ると言われてきましたが、その判断基準をどのように示すのが難題でした。
保有資産の内容は、数値だけで判断するのは難しく、個々の不動産の立地や建物の質そして賃料水準等を総合的に見なければならず、数値化出来ない部分もあります。
また資産運用能力は、人的能力になるので、資産運用会社の人材の質の見方と、日頃の資産運用によって透けて見えてくる部分からの判断になりますから、保有資産の内容より、更にアナログ的になり数値化は困難です。
それでも、投資家の方からは個々の銘柄の良否情報が欲しいという声も多いので、何とかガイドラインを作成しようと思っています。
但し、個々の銘柄の質が直ちに分配金に反映される訳ではないのと、仮に劣っていたとしても短期に問題が出るとは言えません。
概して個々の銘柄の良否が斟酌されるのは、相場が調整局面に入った時で、相場が上げ潮の時は銘柄良否とは関係のない投資口価格が形成されたりします。
投資家の中には、銘柄良否とは関係のない取引をしている主体もありますし、そのような微妙な判断を織り込まずに、機械的な取引を繰り返している主体もいますから、中短期での投資口価格の動きが合理的でない場合もあります。
更に、日銀は投資法人債の発行体格付けによって投資口の取得基準を定めていて、こちらも機械的な買入になっていますから、投資判断のレベルは高くありません。
結局は、現在のREIT市場では個々の銘柄の良否が難しいので、格付けのようにエクイティとは関係のない基準に頼らざるを得ないというのが現実のようです。

こうなると、仮に私が銘柄判断情報を提供したとしても、それによる投資家メリットは何かという問題が残ります。
必ずしも投資口価格の騰落率に反映される訳でもなく、中短期での分配金動向との因果関係も薄いのです。
但し、10年位の長期で見ると、銘柄の選別情報は有用で、優良な銘柄は安定したパフォーマンスを出すのが分かっていますから、長期で保有して確実なインカムゲインを得たいという投資家には必要な情報だと言えます。
その意味で、過去に何度かトライしていた銘柄選別情報をもう少しブラッシュアップしようと考えています。


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