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2018. 3.23.Up Dated.
トランプリスクについて

 米国にトランプ政権が誕生した時からトランプリスクが発生しましたが、そのリスクを誰もが認識するようになっています。
そこで、ここではトランプ氏の政策の是非を論じるのではなく、少し視点を変えて考えてみようと思います。

私達は、日本の考え方や思考・行動パターンでトランプ氏を見ますが、それでは米国の実態が分からないのでは思います。
本来は、米国のコモンセンスや人々の思考・行動パターンからトランプ氏の行動を考察しなければならないのですが、大前提の米国のコモンセンスが良く分かりません。
日本の評論家の中にも、トランプ氏を好悪で分けて論じる見方が多いですが、そのような二択では余り参考とはなりません。
勿論、私も日本に住み暮らしている訳ですから、米国のコモンセンスが分かるはずもありませんので、最近はネット配信される米国のドラマ等を見ることで日本との違いを意識するようになりました。
先ず、トランプ氏は往年の米国の繁栄を支えていた白人中間層の復活を中心政策に据えていますので、それに貢献するであろう政策を次々と進めていくことは必然と言えます。
一方、ホワイトハウス内では閣僚等の解任が相次いでいますが、それは単純にトランプ氏の政策に異を唱えているだけでもなさそうです。
私は、解任の実態は物の考え方の違いだと思っていて、どちらが良いか悪いかでは分からないと言えると思います。
やや偏見かも知れませんが、私は、ホワイトハウスに居る人達は「野心が洋服を着て歩いている」という表現が妥当なのではと思っています。何しろ思考行動の基本戦略が個人的野心ですから、それらの人達と協調するには自分も同じ仲間でなくては勤まりません。
トランプ氏は、恐らくこのような人達とは微妙に異なっていて、自己の修正が利かないタイプだと思います。それは日本の政治家も大同小異ではないかとも言えますが、日米の違いは国民のコモンセンスだと言えます。
日本の文化では個人的野心によってコミュニティに反発すれば、非難を浴びますが、米国では野心は個性だとも考えられていて、日本程の反発はありませんから、野心家ということで非難される訳ではなさそうです。
従って、トランプ氏と解任される閣僚は野心の違いだけですから、どちらが良いか悪いかという判断にはならないと思います。
今後の問題は、トランプ氏の野心に近い閣僚が増えていくか否かによって、政策の進捗度と濃淡が変わるという点ですが、野心は人それぞれですから、結局はトランプ政権が纏まることはないと思います。
そうなると、政策の一貫性は弱くなり、その時の状況によって判断も異なりますから、益々先を見通すことが難しくなります。
結局は、政治的混迷がこの先も長く続き、その影響によって経済が変動するのは避けられませんから、既にそのような時代になったのだと覚悟を決めるしかなさそうです。


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