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2017.11. 3.Up Dated.
物作り雑感

 日本製品の品質の高さを解説するテレビ番組が増えていますが、単なる自己満足で終わってしまうケースもあります。確かにコンピューターに使われる電子部品等は日本製が優れている物が多くありますが、これらが十分に活用されているとは言えません。
それはアッセンブリーメーカーの体質に関係しています。
企業は当面の利益優先が重要課題になっていますから、一定の品質をより安いコストで実現するのに躍起になっていますので、常にコストとのバランスで物作りを考えています。
勿論、その努力は評価出来ますが、この体質が別の側面を持つようになります。
例えば、エンドユーザーからの要求に応えていれば、コスト上昇は必至ですから、適当に対応することになります。その為、過大な要求と見ればクレーマーとして顧客を扱い、組織としては無視します。
特に個人のクレームへの対応は難しく多大な時間と労力を費やしますから、なるべく避けるというのが企業人の本音だと言えます。クレームの中には無茶な要求もありますが、その多くはそれなりの理由があっての事ですから、本来は対応することで新しい発見も出来ます。
私も若い頃クレーム対応をさせられましたが、これらのクレームによってより知識が深まったり、メーカーが達成出来ていない品質を知ることも出来ました。
然しながら、今はどの企業もクレームに十分に対応する体制が出来ておらず、担当者段階で処理させる為に、クレーマーとして一律に扱うようになることで外部の目線に鈍感になります。
これが講じると、東芝のような不正会計になったり、神戸製鋼の品質偽装に繋がるのではないかと思います。
仮に役員・管理職がクレームに対応していれば、不正会計や品質偽装によるクレームの恐ろしさが分かりますから、何としても避けるようになりますが、自分に降りかからなければ鈍感になります。
このように組織が大きくなればなるほど、鈍感な役員・管理職が増えますから、大企業病の一種だとも言えますので、クレーマーが問題なのではなく、企業内部が病んでいるというのが実態に近いとも考えられます。
外部の意見や視点は、自己の向上に欠かせませんから、これらに対応出来る企業体質を構築することから始めなければ、企業の発展は一時的なものに終わると言えるのではないかと思います。


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