コラムトップ
2017. 9.15.Up Dated.
REITの見方

 2017年のREIT市場の動きを分析すると、過去の動きとは異なりつつあります。
未だ8ヶ月の分析なので断定は出来ませんが、明らかに過去とは違った動きなっていますので、この傾向が続けば、REITの投資商品として性格を再定義し直す必要があります。
分析途中なので詳しい説明は出来ませんが、REITが配当型投資商品の範疇に位置付けられつつあるのも確かです。
配当型投資商品として認知されるようになれば、投資家の見方もそれによって修正する必要が生じますし、何よりも投資法人の資産運用戦略を見直さなくてはならなくなります。

更に、新規上場戦略も根本的に修正する必要があり、従来のような相場動向に乗っかるだけの安易な新規上場は失敗する可能性が高くなります。
直近の三菱地所物流リート投資法人のIPOを見ても、見做し額面価格25万円/口に対してIPO価格は26万円/口の4%プレミアムに留まりました。主幹事証券会社は少なくとも5%以上のプレミアムは期待していたと思いますが、組成資産の利回りが低い(鑑定利回り4.9%)こともあって、この程度のIPOになったと言えます。
この例からも、今後の安易な新規上場は難しいと考えられますし、更には投資家利益に反するような投資口の希薄化を伴うPOやポートフォリオ利回りを低下させるような外部成長もマイナス評価に直結してしまう可能性があります。

これらはREIT本来の姿から見れば当たり前の事なのですが、現実はスポンサーの事情や証券会社の手数料稼ぎが優先されてしまった傾向もあります。
投資家の為の仕組みであるREITにとって、従来は不都合なことも多かったのですが、REITが配当型投資商品としての動きになって、ガバナンスが強化されるようになりつつあるとも言えます。
この流れが一時的なのか、それとも今後の潮流なのかが気になる点ですが、現在10月12日開催の実務セミナーで解説出来るよう分析を進めています。
仮に後者であれば、資産運用サイドにとっては非常に重要で、資産運用戦略自体を再構築しなければならない投資法人も多いはずです。 また投資家側も合理的な銘柄評価基準で再評価する必要も生じますので、2017年の流れが定着するか否かは、REITの今後を大きく左右することになりそうです。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.