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2017. 8.18.Up Dated.
個人投資家の実態

 日銀がゼロ金利によって貯蓄から投資へと動かそうとしても、個人金融資産の動きは鈍いようです。
当局の考え方は、個人は利に敏いから、貯蓄しても利息が入らない状態にすれば投資に回るだろうという前提で金融政策を展開している節がありますが、果たしてそうなのでしょうか。
私から見れば、利に敏い個人も居るとは思いますが、多くは損失に敏感な保守的個人なのではないでしょうか。
概してマスコミが取り上げるのは、ニュース性を考慮して保守的な個人ではなく利に敏い個人の動きですから、マスメディアだけの情報で世間を見ていれば日銀のような考え方になります。
例えば、最近は仮想通貨で利を求める人も増えているようですが、必ずしも仮想通貨投資ではなく、マイニングと言って仮想通貨の取引台帳を作ることで報酬を得る人も居るようです。
パソコンのパーツには、マイニングに適したパーツというのもあって、それらは品薄になっていますが、マイニングは日本より中国と韓国で盛んなようで、日本は一部のマニアに限られている感があります。
それでも、マイニングについては新聞でも報道されていますから、国内の一つのブームと誤解されているかも知れません。

元々個人の実像を捉えるのは難しく、その考え方を合理性だけでみると実態を誤りますが、ツボを心得た人が所謂トップセールスマンになった時代がありました。
今日のように情報が溢れている時代は、却って個人の実像が不明瞭になっていますが、元々個人を捉えるのは難しいという事実には変わりがないようです。
それを個人投資家というカテゴリーに限定すれば、更に実態の把握が難しくなりますので、動かせる個人はどの層かという探り方が鍵になるようです。
私はREIT投資は個人に向いていると考え、15年前からREITの解説に取り入れていますが、最初の頃は殆ど反応がありませんでした。手応えを感じ始めたのは10年前頃からですが、今ではかなりの高いレベルの内容ででも理解されるようになりました。
個人を捉えるには、長い期間の行動が必要になり、行動の蓄積によって惹きつけるというのが有効な方法と思われますので、即効性のみを期待する企業や組織では捉えきれないとも言えます。
そう考えると、個人の実像が見えないというのは、対象となっている個人の不明瞭さではなく、観る人の問題なのだと言えなくはありません。


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