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2017. 6. 9.Up Dated.
NISAについて

 最近NISA投資については余り触れられなくなりましたが、少額投資非課税制度という日本語表記でも分かるように、年間120万円を上限として専用口座を開設して投資すればインカムゲインとキャピタルゲインに対して非課税になるという仕組みです。
但し、非課税期間は最長で5年間なので、投資総額は600万円となり、今の金利環境では配当所得は3%/年でも18万円/年ですから、余り使い勝手が良くありません。
個人にとって配当所得は最低でも36万円(月平均換算3万円)程度は欲しいでしょうから、6%/年位の配当率が必要になります。
NISAは個人の財産形成手段の一つとして創設されたものですが、今の制度では中途半端な感は否めません。
従って、改正の余地がありますが、新たな制度設計は簡単ではなく、色々な視点から見直す必要があります。
その一つに、NISAを扱う会社が実質的に証券会社に偏るという点があります。
証券会社は、投資商品の売買(特に売り)で手数料を得るのが目的ですから、仮にNISAを恒久的制度にして保有を続けさせた場合、何処で手数料を得るのかという問題が発生します。
金融機関であれば、預金と同じ感覚で扱うことも出来ますが、やはり手数料収入が無くて管理だけ行うのというのは難しいかも知れません。
こう考えると、金融機関でも信託銀行が最も親和性が高そうですが、現在は信託銀行が扱う投資信託しか買えず、株式・REIT・ETFは除外されますから、選択範囲が狭くなります。

個人の視点でみると、なるべく配当率が高くてリスクはミドルという投資商品を長期保有することが財産形成の最有力手段になりますから、今の投資市場ではREITがそれに最も近くなります。
実際に、REIT投資を行っている個人投資家は、配当率が5.0~5.5%/年になるような投資法人の投資口保有比率が高く、明らかに配当金目的の投資になっていますので、REITはNISA向きだと言えます。
REIT投資を行っている個人投資家は、特段の事情がない限りは保有を続けて配当金を貰い続けますから、実際にNISAに近い形での投資を展開している個人も多くいます。
こう考えると、REIT投資を意識してNISAを再設計する方法も有力です。
REITの最大投資主は、信託銀行を含む金融機関でその保有比率は約51%と過半数を超えていますから、REIT投資については証券会社より熟達しているとも言えます。
また日銀も大量に保有していますから、これを順次NISA投資に移していくことも可能ですので、REITを主たる投資先候補としてNISAを再設計するのも一つの選択肢ではないかと思います。

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