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2017. 5. 5.Up Dated.
ネットメディアについて

 最近は、インターネットの情報でニュースを見たり興味を充たす人が増えています。
私もネットは日頃から利用していますが、ポータルサイトのニュースを見ていると気になることがあります。
それは明らかに閲覧数を増やすキャッチコピーが増えている事です。内容的にはそれ程ではなくても、興味を惹くようなキャッチを付けてクリック数を増やそうとしている記事が目につきます。
ネットの記事を書くのは、ライターと呼ばれる人の仕事になっていますが、彼らの原稿料はクリック数によって上下するシステムのようなので、どれだけ多く閲覧されるか、そして「いいね」を多く取れるような工夫をします。その結果として、単に記事を書くだけではなく、キャッチコピーによって興味を惹くようにしています。

年配のマスコミ人から見ると「さもしい」とか「けしからん」という言葉も聞こえてきそうですが、これは書く人間の問題だけではなさそうです。
発行される書籍にセンセーショナルな題名を付けたり、媚びを売るようなタイトルの本が多くなってから久しいですが、この間に書籍関係業界は凋落していき、社会的影響力も低下していきました。
これと同じ道程をネットメディアも辿っているように思えます。「貧すれば鈍する」という言葉があるように、ネットメディア業界も正常な感覚が弱まっているように思えます。
記事を書くライターの人達の中にも問題意識を持つ人は居ると思いますが、実はフリーライターと呼ばれる人達の収入は大変少なく、とても妻子を養えるレベルではないようです。
そんな台所事情を抱えていますから、クリック数によって原稿料が上下するとなれば、キャッチの工夫に心血を注ぐのは仕方ないとも言えます。

こういう一連の流れによって、結果としてメディアの信頼性が低下していき、何れは混沌とした状態になりそうですから、中国のようにメディアを厳しく規制していくという方法論も現れます。
然しながら、人間は歴史を作ることは出来ますが、操作することは出来ませんから、結局は混沌に巻き込まれます。
こういう状況に対して如何に対処するかは難しいですので、本来であれば哲学の出番になりますが、既に哲学者は絶滅状態になっていますから、羅針盤もなさそうです。
結局は、自分自身で考え自立するしか道がなさそうですが、簡単には皆がそこまでは達しませんから、この先日本だけでなく世界を含めて混沌の時代が訪れそうな予感がします。


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