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2017. 3.17.Up Dated.
東芝の公的救済について

 新聞報道によると、経産省が東芝救済の為の検討に入ったようですが、官僚が特定企業に税金を投入する判断をするのは納得出来ません。
当然の事ですが、税金投入可否の判断は政治の分野になりますから、検討に入るにしても経済産業省大臣が国民に対して説明してからになります。
尤も、政治家はリスクを考えて、先ず官僚にアドバルーンを上げさせて、世間の反応を見た上で考え方を表明する目論見だと思います。
マスコミは森友学園の件を連日報道していますが、これは国有地の払い下げ価格が妥当であったのか、仮にバーゲンだったとしたら、国民が損をしたことになるからですが、東芝に注ぎ込もうとする税金は、この損失額より遥かに多額になります。
従って、同じ視点でみれば、東芝の方が重要案件になりますし、まして東芝は歴代経営者の不正経理操作が原因ですから、森友学園の理事長に比べると明確な不法行為が存在します。
雇用の確保や技術流出を理由としていますが、半導体やメモリーの分野は日進月歩ですから、現在の技術レベルに拘る必要性も希薄です。
雇用の確保は、大企業だけに適用される理由で、中小企業では顧みられませんし、その絶対数で見れば中小企業の雇用者数の方が圧倒的に多いのが実態です。
会社が不正行為をしても、そして社員がそれを許容しても、救済されるのは腑に落ちませんが、大企業だけ特別扱いする感覚も分かりません。
官僚は他人の金なので気楽なものですが、仮に救済資金として一人5万円出そうという事になれば、とんでもないという事になると思います。
「他人の痛みは100年も我慢できるが、自分の痛みは1分も我慢できない」という言葉がありますが、官僚はこれを地で行っている感があります。
今、米国ではトランプ政権の入国制限が憲法違反との見方をされているようですが、これも法の下の平等という民主主義の精神に因るものです。
この視点で、東芝の救済を考えると、何処に法の下の平等があるのか分かりません。
普通に考えれば、長年に亙って不正経理操作をして株式市場と世間を欺いてきた企業が消滅するのは当たり前のことです。 これだけ否定的な見方があるのですから、仮に公的救済を行うのであれば、政治家は合理的な説明を国民に対して行う義務があり、それが政治の役割ですし、また民主主義だとも言えます。

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