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2017. 1. 6.Up Dated.
森トラスト・ホテルリート投資法人の上場

 2016年は7銘柄の新規上場があり、IPOの成績は1勝4敗2分で、2015年上場5銘柄の4勝1敗に比べて厳しい状況でした。

「2016年上場銘柄の投資パフォーマンス」
2016年上場銘柄 a)
IPO価格
b)
原初価格
a/b(IPO
プレミアム率)
c)
16/12/30
終値
c/a
ラサールロジポート 100,000円 100,000円 0.00% 110,700円 10.70%
スターアジア 100,000円 100,000円 0.00% 97,600円 -2.40%
マリモ地方創生リ-ト 92,000円 100,000円 -8.00% 80,900円 -12.07%
三井不動産ロジスティクス 270,000円 250,000円 8.00% 333,000円 23.33%
大江戸温泉リート 93,000円 100,000円 -7.00% 80,800円 -13.12%
さくら総合リート 91,000円 100,000円 -9.00% 78,800円 -13.41%
投資法人みらい 183,000円 200,000円 -8.50% 171,200円 -6.45%
7銘柄合計 929,000円 950,000円 -2.21% 953,000円 2.58%

この表を見ると、プレミアムIPOは三井不動産ロジスティクスパーク投資法人だけで、+8%の公募価格になりました。
更に、2016年末の投資口価格と比較すると、2勝5敗になっていますから、芳しくありません。

このような市場環境の中で、2017年2月に森トラスト・ホテルリート投資法人の上場予定が発表されました。
このIPOは、上記7銘柄とは異なり、スポンサーの森トラストが保有している投資口の売り出しとなっていて、100千円/口の投資口を158千円/口で売り出したいようですが、単純計算では58%もののプレミアムが乗っていることになります。
これは三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の7.25倍のプレミアムとなりますから、かなり厳しい皮算用だと言えます。
かつて森トラストは森トラスト総合リート投資法人のIPOで500千円/口の投資口を730千円/口で売り出しましたが、この時よりプレミアム率は高くなっていますから、どういう見込みがあるのでしょうか。
普通に考えれば、プレミアム率は最善でも5%程度だと思われますから、公募価格は105千円/口となります。
果たして158千円で引き受けてくれる投資家が居るのでしょうか。
ブックビルディングでどのような仮条件になるのかは分かりませんが、58%のプレミアムはこの銘柄の最高天井だと思えますから、仮にこの価格で購入すれば考え得る最も高い価格での投資になりますから、投資家はかなり不利になると言えます。
スポンサーの森トラストはブランドの神通力が頼りなのかもしれませんが、久々にオカルト的な新規上場が現れたと言えると思います。


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