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2016.10.21.Up Dated.
外国法人の取引動向

 東証REIT指数の水準が1,700ポイント台に戻りました。これで第一段階の目途になる巡航水準1,750ポイント前後の相場を形成しそうですが、未だ調整の余地が残っていると考えられます。
外国法人の取引を見ると、2月~4月に大量に買い越した分の売却が進んでいません。9月は一旦買い越しに戻していますから、東証REIT指数の水準で見ると、1,850ポイント程度で買い越した分の処分が残っています。相場が再び1,850ポイントを超えるような材料がありませんから、そろそろ諦めて処分に移り始めれば、1,700ポイント割れも現実味を帯びてきます。
国内の機関投資家は1,750ポイント前後の水準は居心地が良いと考えていると推測されますが、もう少し外国法人に損切りさせてから拾う方が賢明かもしれません。
元々、外国法人の取引は機械的取引で僅かな売却益を積み上げるような取引態様でしたが、マイナス金利を契機にして、相場の趨勢を読む取引に変わった節があります。
マイナス金利では、国内機関投資家が反目に動いて失敗した為に、その後は含み損を小さくする取引に終始せざるを得なくなったようです。
4月以降は何とか1,800ポイント台を維持するような取引を続けていましたが、日銀がマイナス金利から0金利政策に転換した為に、2月のような1,900ポイント台の再来の可能性は無くなりました。
こうなると、早めに処分して傷を浅くするしかありませんから、1,750~1,800ポイントの相場で処分するしかありませんので、もう少し調整を待って、1,700ポイント前後まで下げてから拾う方がうま味がありそうです。
2016年の外国法人の取引を見ていると、相場の趨勢を読むのを失敗していますが、国内でもREIT情報は少ないですから、情報不足と情報の質の問題で投資判断を誤ったとも言えます。
REIT市場は、株式市場のような投資家の多様性は少なく、決まったプレイヤーによる取引になっていますから、訳もなく上昇したり調整したりする余地が小さくなっています。
これは国内投資家にも言えることですが、REIT情報の質を吟味出来ないとREIT投資は難しいとも言えますので、今回の外国法人の取引を他山の石としておく必要がありそうです。

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