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2016. 7.29.Up Dated.
新規上場銘柄
 
 7月29日にマリモ地方創生リート投資法人が、8月2日に三井不動産ロジスティクスパート投資法人が上場となります。
ブックビルディングで決定された公募価格を見ると、
「マリモ地方創生リート」が仮条件92,000円~100,000円の下限の92,000円
「三井不動産ロジスティクスパーク」が仮条件250,000円~270,000円の上限の270,000円
となりましたが、これは妥当な結果だとも言えます。
ここ1~2年の新規上場を見るとマリモ地方創生リートのようにIPO価格がディスカウントになるケースも増えていますが、新規上場時の資産規模が400億円以下で、IPOがディスカウントになるとスタートからつまずいてしまいます。
資産規模が小さいと十分な資産運用体制が構築できませんから、上場後の早い段階で外部成長を図り、最低でも資産規模が300億円を超えないと資産運用会社の運営が難しくなります。
所が、IPOがディスカウントだと上場後の増資が困難になりますから、外部成長が図れずに立ち往生してしまう事になります。

以前から指摘していますが、REITは上場してしまえば何とかなるという仕組みではありません。寧ろ上場後から本番ですし、その後のオペレーションによって好循環に入らないと存続が困難になってしまうのがREITの特徴だとも言えます。
IPOがディスカウントになる投資法人は、このことが分からずに証券会社の営業攻勢に乗ってREITに進出しただけなのかも知れません。
REITの初期段階では、上場時の組成資産が悪くなくてもディスカウントIPOになった投資法人もあり、そういう時は「小さく生んで大きく育てる」とアドバイスしていましたが、最近の上場組を見ると、最初から上場後の見通しもなくREITに出てきたという感があります。
日本証券取引所も上場後の運営まで考慮せずに機械的に上場を承認していますから、新規上場に対して投資に必要なフィルターが掛かっていません。
何でも投資家責任に転嫁してしまうのが今の投資市場ですが、日本証券取引所も「分からない」という理由で上場審査を機械的に処理するのは大きな問題だと以前から指摘しても、一向に改善されません。
恐らく、この状態は今後も続くと思いますので投資家は自らで適否を判断しなくてはならないと覚悟した方が良さそうです。

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