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2016. 7.15.Up Dated.
REIT相場の行方
 
 東証REIT指数でREIT相場を見ていると、ブレクジットの影響で一時的に1,700ポイント台に下がったものの、3日後にはブレクジット前の水準に戻り、直近では1,850前後で推移しています。
日銀が更に景気テコ入れ策として、マイナス金利幅を拡大するのではないかという見通しもあって、若干上昇しているようにも見えます。
しかし、既に日銀の金融政策に乗じているのは証券会社と外国法人だけという事が分かっていますし、6月の投資部門別売買動向では証券会社の買越しの勢いが弱まっているのと、外国法人も小幅な売越しになっていますから、再び1,900ポイント超に上昇する可能性は小さくなっています。
外国法人にとっては、2~4月に1,900ポイント台の水準で大量に買い越した分の処分が行える相場まで回復してくれるのがベストでしょうが、そこまで付き合ってくれる国内投資家は居そうもありません。
ラストリゾートになっている日銀のREIT買入も、外国法人が2~4月買い越した2,618億円に比べると、残りの枠が400億円程度になっていますから、とても足りませんので、買入枠を大幅に引き揚げてもらうしかありません。
尤も、外国法人救済の為に日銀がREIT買入枠を増やすのは大義名分がありませんが、最近の日銀であればそういう政策もなくもないという状態ですから、分かりません。
当局が余計な介入をしなければ、REIT相場は1,900ポイントを天井として緩やかに調整されて、1,750ポイント前後で一旦着地するという動きになりそうですから、今の水準は過渡的な状態と考える必要がありそうです。
但し、この見通しは外国法人の事情を考慮していませんので、REIT取引市場でのシェアホルダーである外国法人にとっては、1,750ポイント前後に着地してしまえばかなりの含み損を抱えてしまいます。
これを防ぐには、外国法人自らが再び買越しに転じる必要がありますが、組織立って動ける主体ではなさそうですから難しいと言えます。
日本であれば、投資信託にツケ回しするという方法もありそうですが、海外のファンドの投資家は厳しいですからそれも出来ませんので、外国法人が損切をするタイミングが今後のREIT相場の流れを決定するであろうと考えています。

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