コラムトップ
2016. 5. 6.Up Dated.
スターアジア不動産投資法人の上場

 スターアジア不動産投資法人が4月20日に東証へ上場しました。
耳慣れないスポンサーによって設立されたREITですが、目論見書にはスターアジア不動産投資グループの説明があり、米国を拠点とする独立系の不動産投資グループという事しか分かりません。
REITではスポンサーも一つの判断情報になりますが、スポンサーの名前だけで判断する訳ではありません。
但し、スターアジアの場合は外資系ですし、どのような会社が投資法人を設立したかはかなり重要な情報になります。
更に、日本での不動産投資実績もありますから、悪く言えばこれらの保有物件の出口としてREITに進出したという見方にもなります。
上場時の組成物件18件のうちスポンサーから取得した物件は3件なので、現時点では出口と考えるのは早過ぎますが、多くの用途を投資対象とした総合型REITを目指すという投資方針と、上場時のポートフォリオNOI利回り(鑑定利回りは5.2%になっているが、私の想定は巡航ベースで5.0%前後)の数値を見ると、スポンサーにとっての出口と勘繰りたくなります。
機関投資家も同じ感覚を持ったのか、IPOは10万円/口と、元の投資口価格に対して±ゼロの公募価格になりましたが、恐らく本来のブックビルディングでの水準は10万円/口以下であったのではないかと思われます。
その為に、上場後の市場価格はIPO価格割れで推移しているのではないかと思われます。
引受証券会社が無理な営業を掛けてREIT進出を薦め、IPOでもぎりぎりの上限価格を狙う、それが分かっている機関投資家は積極的には買ってくれませんから、IPOは証券会社が電話セールスで個人を狙い撃ちして何とか消化するという構図は、ファンドバブル期と何ら変わりません。
証券会社の相変わらずの姿勢は、REIT内部でも苦々しく思っている人たちも居るようですが、私がこの仕事を始めた時からも証券会社の体質は変わっていません。
以前は同類と見られていた不動産屋もここ10年位で淘汰されて今は見る影もありませんが、証券業界だけは生き残れたようです。
この分だと10年後も同じ体質だと思いますので、せめてもう少しREITを勉強して頂きたいと思いますが、これもまた証券会社にとっては難しい注文なのかもしれません。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.