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2016. 3.11.Up Dated.
2月の投資口取引動向

 東証が投資部門別売買動向を発表しましたので、分析してみました。

月間売買高が2.86兆円と前月比で約2倍に膨張しています。金額的にも過去最高を更新しています。
投資家別の内訳は以下の通りです。
(対前月比での増加率)
  取引投資口 取引金額
証券会社自己取引 205.68% 223.79%
金融機関 180.53% 191.92%
投資信託 172.65% 192.30%
個人 167.41% 170.96%
外国法人 184.06% 195.24%
5者計 184.15% 196.44%

取引の絶対金額の多寡は異なりますが、最も取引を増やしたのは証券会社で、逆に、国内個人は比較的低い率になっています。
何れしろ主要5者の投資家全てが取引を活発化したのは明らかですが、取引の差引を見ると、外国法人の買越額が約1,165億円と突出し、次いで証券会社自己取引が192億円の買越しですが、他の3者は売越しに転じています。
売越し常連主体の国内個人は、大幅に売越額を増やしていますが、従来は買越し主体であった投資信託が個人を超える額の大幅売越しをしています。
そして同じく買越し主体の常連である金融機関もかなりの額を売越しています。
従って、2月は外国法人と証券会社が積極的に買い進み、逆に相場上昇局面を受けて投資信託・金融機関・国内個人が売却益確保に動いたと言えます。

2月の取引動向をみて今後を予測するのは難しいですが、仮に外国法人がマイナス金利によって、金融機関等の投資が増えると読んでの買越しであれば、思惑が外れたことになりますが、それ程単純ではなさそうです。
欧州も既にマイナス金利になっていて、これに日本が参加したことで、投資のポートフォリオが米国一辺倒に傾いてしまうので、分散を図るために日本のREITに注目しているという見方も出来ます。
従って、3月の外国法人の取引態様が注目です。恐らく2月程の買越しはないものの、連続買越しにはなりそうです。
一方、金融機関と投資信託は強気な買越しには転じない可能性もありますが、仮にこの2者がこのような取引態様だと、外国法人の爆買いが収まった時点で、相場は調整されると考えられます。

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