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2016. 2.26.Up Dated.
REIT相場と投資スタンス

 東証REIT指数が1,900ポイントに近づいていて、何れは到達する勢いです。
何故REIT相場が上昇するのかは、マイナス金利によって3%台の年間利回りが見込めるREITに金融機関等の資金が流入しているからだと考えられます。
元々金融機関はREITの最大の投資主で、かなりの投資口数を保有していますから、この時期に高値で買っても平均コストからみれば未だ十分な利回りが見込めます。
従って、マイナス金利になったことで、取りあえずREITへの投資量を増やすことで資金退避をしていると考えられます。

このように投資家によって投資事情はそれぞれ異なりますから、個人が同じ感覚で相場に乗って投資を増やすのは危険です。
配当期待の投資商品では高値掴みは最悪ですから、このような時期に保有目的でREIT投資をするのは愚の骨頂です。
コラムをご覧になっている方は周知のことと思いますが、一方で相場上昇に伴った証券会社等の勧誘で初心者がREIT投資を行うことが心配です。特にNISAのような資金が、この時期に誘われるまま高値掴みしたら最悪ですが、投資の世界では十分にあり得ることです。
REIT投資に慣れている個人もこの時期は特に注意が必要です。
現在のREIT相場は、国債利回りや日経平均との相関性も消滅していて、独自の値動きをしていますが、現在のREIT市場には、REITの投資口価格を決定する明確な根拠がありませんから、単に雰囲気だけで価格を上下させています。
即ち価格が上下する根拠がありませんから、当然ながら相場の先行きを読むことは不可能で、どの水準が天井なのかも分かりませんので、価格のボラティリティリスクを織り込んだ投資態様が必要になります。

冷静に見ればREITにとっては迷惑な環境ですが、このような時期に投資法人の動きをチェックすることで、その資産運用能力を推し量ることが出来ます。
相場の勢いに乗って高値で物件取得をするような投資法人は、元々REITの仕組みを理解しておらず、投資家のリスクを増やすことを敢えて行っていると言えます。
先日、日本リテールファンドが銀座の商業ビルを2.8%/年のNOI利回りで取得しましたが、これだけ低い利回りの物件を買わなくてはならない理由はREITにはありません。
単に資産運用会社が投資家のリスクを利用して買いたかっただけだと言えます。
この資産運用会社は過去にも同様の事を行って失敗していますが、学習効果がないのか相場が上昇すると同じ事を繰り返しています。
人材の質の問題ではないかと考えられますが、こういう見方もこの時期では十分に参考になりますから、そのような視点で各投資法人の動きを見るのも一つの方法です。

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