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2016. 2.19.Up Dated.
REIT相場のボラティリティ(その2)

 
 REIT相場が激しく上下しています。この状況は投資市場の混乱が原因ですから、特に理由を探る必要はありませんが、現象を捉えると以下のようになります。

年月 東証REIT指数
月間平均値
10年物国債利回り
月間平均値
月末時点
全REIT平均
予想利回り
(A)
月末時点
10年物国債利回り
(B)
スプレッド
(A-B)
2015年1月 1,939.53 0.26% 3.12% 0.28% 2.84%
2015年2月 1,863.36 0.37% 3.13% 0.33% 2.80%
2015年3月 1,857.83 0.38% 3.13% 0.40% 2.73%
2015年4月 1,882.54 0.33% 3.20% 0.34% 2.86%
2015年5月 1,862.00 0.41% 3.21% 0.39% 2.82%
2015年6月 1,831.58 0.47% 3.33% 0.46% 2.88%
2015年7月 1,741.12 0.44% 3.52% 0.41% 3.11%
2015年8月 1,719.28 0.38% 3.73% 0.38% 3.35%
2015年9月 1,592.72 0.36% 3.89% 0.35% 3.54%
2015年10月 1,698.54 0.31% 3.71% 0.30% 3.41%
2015年11月 1,729.82 0.31% 3.59% 0.30% 3.29%
2015年12月 1,736.45 0.30% 3.65% 0.27% 3.38%
2016年1月 1,681.00 0.22% 3.78% 0.10% 3.68%
2016年2月 1,798.49 0.08% 3.75% 0.01% 3.74%
(2016年2月は1日~18日までのデータ)

上の表は、
・2015年1月からの東証REIT指数月間平均値
・10年物国債利回り月間平均値の推移
・月末時点での上場REITの予想分配金利回り
・10年物国債利回りの推移
を表したものです。

注目すべきはスプレッドの動きです。
REITのような配当型投資商品では、元本リスクゼロと考えられる国債利回りに、元本リスクを考慮した一定のスプレッドを乗せて期待利回りが設定されますから、本来は国債利回りの動きに連動して投資口価格が形成されますが、この表を見ると必ずしもそのような動きにはなっていません。
2015年を見ると、ボトムの9月にスプレッドは3.541%まで拡大しましたが、2016年は東証REITの水準が2015年9月を上回っているにも拘わらず、スプレッドは更に拡大しています。
一方の国債利回りは直近(2/18)では0.01%まで低下していますから、仮に1億円分の国債を購入しても、年間1万円の利息しか付かず、10年間で元利合計1億10万円にしかなりません。
米国債が2.0%超/年になっていることを見れば、まさ異常値ですから、日本の国債利回りを先行指標とするのは合理的ではありません。
従って、このような状態では投資家は短期の見通しと判断で投資を行い、リスクを軽減しようと考えます。
単純に国債利回りとのスプレッドだけで見ればREITの投資口価格の上昇余地は十分ありますが、そこまでは怖くて一気に買い進むわけにはいきません。
様子を見ながら超短期売買でリスクをヘッジしながらの投資態様になるのは仕方ありませんから、暫くはREIT相場はさしたる根拠もなく行きつ戻りつしながらになるのは避けられません。
間違ってもこういう時期にREIT投資で全くの素人が手を出すのは危険ですから、自粛するべきだと思います。

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