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2016. 1.22.Up Dated.
ラサールロジポート投資法人の上場

 物流倉庫を投資対象としたREITとしては4番目となる投資法人の上場予定が発表されました。
ラサールと言えば、かつてイーアセット投資法人を買収し、ラサールジャパン投資法人のスポンサー企業としてREITに参入しましたが、その後ラサールジャパン投資法人は僅かな期間で日本リテールファンドに吸収合併されたという経歴を持つ企業です。
イーアセット投資法人買収後に、ラサールグループが保有する商業施設を高値で投資法人へ売却し、それが原因の一つにもなってラサールジャパン投資法人は運用困難に陥り、結局は身売りせざるを得なくなりましたが、スポンサーであったラサールは大した被害もなく、したたかに不動産売却益を得たという経緯があります。
私から見ると、ラサールはREITが好調の時に顔を出して一稼ぎするのが得意のようなイメージがありますが、今回はどうでしょうか。

ラサールロジポート投資法人の上場時保有資産は、物流倉庫8物件で取得予定総額は1,614億円となっています。取得予定資産のNOI利回りは鑑定評価ベースで平均4.9%と発表されています。
因みに、上場している物流倉庫系投資法人のポートフォリオNOI利回り(取得価格比)は以下のようになっています。

物流倉庫系銘柄 直近4期平均利回り 直近4期の実績(左側が直近)
日本ロジスティクス 5.81% 5.85% 5.69% 5.86% 5.84%
産業ファンド 5.83% 5.72% 5.93% 5.79% 5.86%
大和ハウスリート 5.90% 5.64% 6.10% 5.92% 5.94%
GLP 5.60% 5.37% 5.47% 5.52% 6.04%
日本プロロジス 5.53% 5.52% 5.22% 5.63% 5.74%
平均値 5.73% 5.62% 5.68% 5.74% 5.88%

物流倉庫のみ保有しているのは、日本ロジスティクス、GLP、日本プロロジスの3銘柄ですが、この3銘柄中、大型高機能倉庫中心の日本プロロジスでも5.53%/年の利回りは確保されています。
一方、ラサールロジポート投資法人は4.9%/年ですから、何処からこの数値を引っ張ってきたのでしょうか。
ポートフォリオは東京圏の物流倉庫にはなっていますが、物流倉庫に資産価値はあまり関係ありませんから、これだけ低い数値の利回りで取得するとなると、何となくかつてのラサールジャパン投資法人の経緯が思い出されます。
ラサールは、REIT市場が好調な時に稼いで、市場が悪化したら何処かに吸収合併されれば良いと、ドライに割り切ったビジネスモデルが得意のように思えます。
投資法人が吸収合併されるときは、エクイティが棄損しますが、それは投資家の負担になりますから、スポンサー企業への影響は大してありません。
これが上手なビジネスという事なのでしょうが、投資家はどのように考えるのでしょうか。

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