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2016. 1.15.Up Dated.
REIT相場の先行指標

 東証REIT指数が先週末から1,600ポイント台になっていますが、これは明らかに株式市場の影響を受けているものと思われます。マスコミ等では色々な解説をしていますが、要は投資市場はマイナス的な見方が優勢ながら、暫く様子見というのが実態だと言えます。
参考までに、東証REIT指数の動き(日時推移)と他の指標との関連性を見ると、次のようになっています。

東証REIT指数との相関度 日経平均 不動産セクター 10年物国債利回り
2014/10/1~2016/1/14 0.272 0.4379 ▲ 0.1791
2014/10/1~2015/5/29 0.6563 0.4779 ▲ 0.8294
2015/6/1~2016/1/14 0.7525 0.6471 0.3964

期間を2014/10/1~2016/1/14に絞り、更に前半(2014/10/1~2015/5/29)と後半(2015/6/1~2016/1/14)に分けて、CORREL関数で両者の動きを計算しています。
全期間を通すと、どの指標とも相関性は認められませんが、前半と後半に分けると明確な関連性が生じます。
東証REIT指数の相関度は、第1位が前半の10年物国債利回り(▲0.8294)で、ほぼ完全な逆相関になっていますから、これは教科書通りの動きだったと言えます。
そして第2位後半の日経平均(▲0.7525)で、これもほぼ順相関になっています。
即ち、東証REIT指数は、前半は10年物国債利回りと逆相関で動き、後半は日経平均と順相関で動いていることが分かります。
僅か1年そこそこの期間で、先行指標が大きく変わってしまうのも困りますが、以前にも書いたように、国債利回りは日銀の財政ファイナンスによって歪められていますから、指標としての信頼性が落ちてしまった事も一つの原因だと言えます。
REIT相場の先行指標がなくなると、取引主体は困りますから、合理的根拠は弱くても日経平均にすがるしかないということだと思います。
以前は、株式市場の不動産セクターとの関連性が高かったですが、元々これも根拠希薄ですから、今日では不動産セクターではなく日経平均になっています。
どちらも合理的根拠が希薄であれば、株式市場全体のマクロ指標である日経平均の方が分かり易いという事もあります。
このような動きについては12月の投資家セミナーでも解説いたしましたが、根拠希薄ながらREITの投資口価格が下がり予想分配率が上昇する局面は魅力的ですから、もう少し調整される方がウェルカムだと言えます。

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