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2015.12.25.Up Dated.
日銀のREIT買入れについて

 日銀が12月18日の金融政策決定会合でREITの買入要件の緩和を発表しました。
一方、ETFの買入も3.0兆円/年→3.3兆円/年に拡大しましたので、日銀の2016年の金融政策は資産買入がメインになりそうです。
この事は12日と16日に開催した投資家セミナーで予想した内容と合致していますが、REITの買入について持株制限の5%を倍の10%に拡大するという施策までは想定出来ませんでした。
それでも、年明けから日銀の資産買入が活発化するという前提で2016年の市場予測を立てましたので、セミナーに参加された方は、再度セミナーテキストを読み直して頂ければと思います。
REITの買入枠は900億円/年のままですが、個別銘柄の取得可能枠が拡大したことで、日銀が取得条件としている格付けAA格銘柄全てが追加取得対象になります。
セミナーでは、5%制限のままで日銀が取得可能な銘柄を挙げましたが、今回の変更によって、上場52銘柄中29銘柄(AA格取得銘柄数)全てが追加取得されるので、これら29銘柄を日銀が取得すると、REITの時価総額の約70%に該当しますから、確実に東証REIT指数を押し上げます。
一方、日銀が5%を超えて投資口を保有すると、大量報告義務が生じますから、日銀のREIT保有の一端が明らかになりますので、日銀好みの銘柄というのが分かり、日銀の投資判断姿勢や銘柄判別能力も推測できるようになります。
勿論、日銀が市中金融機関に比べて優れた判断能力を持っている訳ではありませんから、セミナーでも触れた金融機関好みの銘柄だと考えることも出来ます。
日銀のREIT買入が進むと、REITの上位投資主に名前を連ねるようになりますが、買入名義は信託銀行ですから、日銀とは表示されないだろうと思います。
因みに、REITの上位投資主御三家は、日本トラスティ・サービス信託銀行、資産管理サービス信託銀行、日本マスタートラスト信託銀行ですが、日銀が買い進めば、この御三家に次ぐ存在になりそうです。
また日本ビルファンド投資法人の例で見ると、既に日銀は前述の御三家に次ぐ投資口保有比率になっていると考えられ、スポンサーである三井不動産の保有比率(3.37%)をも上回っています。
REIT市場は依然と好調と言える状態ですが、それでもなお日銀がここまでするのは、金融政策なのかそれとも景気対策なのか、又は政治的思惑が先行しているのかという疑問もありますが、恐らく他に選択肢がないというのが本音ではないかと思います。

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