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2015. 7.24.Up Dated.
MCUBS MidCity投資法人の増資

 MCUBS MidCity投資法人が増資を行い、増資価格は313,462円/口で増資価額が303,174円/口になりました。
この増資価格で7万口を新規発行しますから、従前の発行済口数183,625口に対して38%増になります。そして、従前の投資口簿価が492,159円/口ですから、今回の増資は簿価の▲38.4%の増資価額になりました。
通常は、従前の簿価に対してこれだけ低い価格での増資は第三者割当増資で行われるケースが多く、公募では珍しいとも言えます。
その理由は、このような増資は著しくROEを悪化させますから、引受手が居ないと考えられるからです。又、既存投資主に対しても希薄化によってかなりの不利益をもたらしますから、既存投資主の反発も大きくなるので公募が難しいと思えるからです。
この投資法人がMIDリート投資法人の頃は、とても増資どころではなく、身動きが取れなくなっていましたが、MCUBSの子会社(資産運用会社)になってから、希薄化も既存投資主の不利益も斟酌しない荒技に走りました。
REITでは、このような極端な希薄化をしてしまうと中々立ち直れなくなりますが、MCUBSはREITという範疇ではなく、株式と同じ感覚で投資法人を見ているものと考えられます。
仮にREITとして見ているならば、このような増資を敢行するよりは吸収合併する方が未だ上策のように思えますので、いっそのこと日本リテールファンド投資法人を総合型に衣替えして吸収する案が無かったのかとも思います。(尤も、これでは日本リテールファンド投資法人の投資主の反発が大きい)
何れにしろ苦しい台所の中での方策だとは思いますが、これではMCUBSが参画しても何の意味もなかったと言えます。
元々MCUBS MidCity投資法人は超低空飛行を続けていた銘柄ですから、浮揚させるのは簡単ではありませんが、それを承知で子会社化したはずですが、結局特に有効な策はなく、REIT市場の好調だけを頼りにしていたのかもしれません。
今のREIT市場でさえ簿価の38%ディスカウントでの増資ですから、この先もエクイティを集める事は困難だと言えますので、デットの調達が更に厳しくなります。益々袋小路に追い込むことになり兼ねませんが、それも止むを得ないという判断なのかも知れません。

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