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2015. 2.27.Up Dated.
分配金と投資口価格は無関係?

 投資市場では株式の配当金の増額を要求したり配当性向の上昇を求めたりしていますが、本当にそうなのでしょうか。
例えば、配当型投資商品であるREITを見ても、その要求は疑わしいと思われる点があります。
一つの例として、野村不動産オフイスファンド投資法人の投資口価格と分配金の関係を見てみると、

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
分配金 16,500 14,681 14,512 14,837 12,790 12,824 12,412 10,000 10,000 10,579 9,500
指数 100 89 88 90 78 78 75 61 61 64 58
年間@
投資口価格
493,655円 506,476円 456,875円 511,118円 472,611円 592,054円


2010年上期の実績分配金を100として見ると、直近の予想分配金(平成27年4月期)は約半分程度に減少していますが、投資口価格は2010年の平均投資口価格493,655円/口より約20%上昇しています。
勿論、金利環境は変化していますから、それも考慮する必要はありますが、それでもこれだけ分配金水準が下がっても投資口価格は上昇するというのは理解に苦しみます。
投資法人側から見ても、懸命にバフォーマンスを上げるより、単に市場状況に乗るだけでも良いのではないかとも考えると思います。
決算説明会では必ずと言って良い程、分配金水準の動向や今後の分配金額について質問がありますが、REIT市場ではそれとは関係なく投資口価格が形成されている感があります。
REITの場合は利益の100%が分配金になる一方、株式の配当性向は50%以下ですから、経営側の配当政策次第になりますので、投資家が要求を繰り返しますが、本音ではどうなのでしょう。単に株価が動かす材料が欲しいだけという見方が出来なくもありません。
それと、取締役にも社外取締役を増やせという要求もあり、企業にとって注文が増えていますが、一方の投資市場は超高速取引の短期売買を繰り返して株価を操作しています。
投資家は何でもありで、企業側に厳しくしているというも見方も出来なくはありませんが、どうなのでしょうか。
勿論、市場の透明性を高めるのは必要な事ですが、それは企業側だけでなく同じように投資家にも求めるべきなのではないかと思いますので、 せめて超高速取引の短期売買を別の市場で行わせるという方法も検討してはどうかと思います。

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