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2015. 1.23.Up Dated.
自爆型の増資

 2015年に入っても引き続き増資が活発化していますが、ついに自爆型の増資も行われるようになりました。
総じて新興銘柄の増資は既存投資家の利益を減じる内容になっていましたが、今回増資を発表した日本リート投資法人のそれは、まさに自爆型だとも言えます。
増資に併せて、オフィスビル28物件、住宅1物件、商業施設2物件を取得しますが、その取得価格合計は768億円で、従前の保有資産規模757億円を倍増させる規模になっています。
REIT市場が好調な時にスケジュールを前倒しして、一挙に資産規模を積み上げようとしていますが、何しろ取得予定のオフィスビル28物件が異常です。取得する予定の建物平均築年数は26.5年で、敢えて築古Bクラスビルだけ集めた感があります。更にその利回りも他の銘柄の保有不動産と比較して格段に下がっていますから、このように質が低くて低利回りの物件をポートフォリオに大量に加えてしまうと、長期に亙るパフォーマンスの低下は避けられません。
過去にこれと同じようなイベントを実施して崩れていった投資法人(クリード・オフィス投資法人の事例)がありますので、REIT投資の経験の長い人にとっては明解です。

では、何故日本リート投資法人の資産運用会社がこのような増資を敢行するのか。
表面的にはREITの資産運用の理解力不足とも言えますが、ここまでする投資法人には一定のパターンがあります。
但し、新興銘柄の資産運用会社にあれこれ言っても始まりませんが、これで日本リート投資法人はREITの範疇から完全にスピンアウトすると言えます。また長期的に見ても、この内容では吸収合併すら対象になりませんから、一旦低迷すれば漂流するのは確実です。
私は当初もう少しまともな銘柄だと思っていましたが読み誤りました。昨年12月に実施したセミナーでは、比較的まともな資産運用を行いそうだと評しましたが、それは完全に間違いで、ここに訂正致しますので、セミナーに参加された方は投資判断を修正して下さるようお願い致します。

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