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2015. 1.16.Up Dated.
不安定な相場

 グローバルな投資環境が不安定化していて、その影響で日本の長期金利も過去最低水準まで下がりました。 何しろ10年物長期国債の金利が0.25%ですから、これでは債券投資も成り立ちません。
一方、利回りの良いREITは更に買い進まれて東証REIT指数2,000ポイントも目前に迫っていますが、今の投資環境はどう見ても不安定な状態です。
グローバル経済が不安定の中で、これに地政学リスクが加われば大荒れになりそうですから、暫くは様子見でリスクを冒さないのが良さそうですが、投資が仕事の人はそうはいきません。
一方、個人はこれだけ不安定で不透明な状況では、どれだけ読んでも先は分かりませんから、暫く休むという判断が賢明です。
その中の要素の一つで昨年から原油価格が下がっていますが、ここまで下がると米国等で開発されているシェールオイル事業が追い込まれそうです。
原油の代替製品であるシェールオイル等は、既に1970年代から注目されていて、私も新入社員当時色々な話を聞いていました。当時は、原油価格が低過ぎて、これらの開発の採算が取れない状態でしたが、原油価格の上昇前提で研究が進められました。
それが1バレル=$100超になった事で一挙に開発が促進されましたが、ここに来て半分の価格水準になったことで、原油代替事業の採算が難しくなりました。
産油国としては代替製品が市場に溢れることは避けたいですから、もう暫くは今の相場を続けて、代替事業を駆逐した後に、再び値上げすれば良いと考えていると思われます。
但し、米国でのシェールオイル事業の破綻が起こると、これに投資した資金の損失が膨らみ、再び投資市場を揺るがす可能性もありますから、先行きは不安です。
こんな状態で何処かで武力紛争が起きれば、更に混迷が深まりますが、不安定な時こそそういう可能性が高まるのが常ですから、今年は難しい一年になるかも知れません。
一方、REITについては、早期に価格調整が起こり、NISA等を取り込んだ国内個人資金のウェイトを高められれば、一定水準での安定も可能です。
既に株式市場は外国資金の動向によってボラティリティが高くなっていますから、せめてREIT位は個人が落ち着いて投資出来る商品にならないとNISAを創設した意味も無くなります。そういう意味でも政策金融当局にとって今年は正念場になりそうです。

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