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2014.12.26.Up Dated.
2014年の東証REIT指数

 

 前掲のグラフは2014年(1/6〜12/26)の東証REIT指数の日次推移を表しています。
ご覧のように1,600ポイントが一つの壁になっていて、この水準を超えると投資口価格の動きが激しくなるようです。
2014年で最初に1,600ポイントを超えたのは7/16(1,609.18)で、一旦戻しましたが、再び8/11(1,607.76)に超えると、その後は少し小康状態が続いてから、10/20から急激に上昇を始めました。
これは市場での取引目安が1,600ポイントをイエローゾーンにしていて、ここを超えると正常状態に戻るかレッドゾーンに突入するかの二択になっているようです。
そして10/20からは完全にレッドゾーンに向かって上昇を始め、この勢いは間違いなく年内は続きます。投資家心理としても、ここまで来れば行ける所までという気持ちになるようで、ブレーキが利かなくなるようです。
グラフを見れば一目瞭然ですが、10/20からの上昇は急激過ぎますから、REIT投資としては信用できる状態ではありませんが、既に株式投資感覚での取引になっていますから仕方ないとも言えます。
又、投資口価格の動きを銘柄毎に見ても、明らかに短期売買筋の取引の典型になっていますから、この状態ではREIT投資は成り立ちません。
一方、投資法人にとっても、今の状態は好ましからざる事態ですし、投資家にとってもリスクが極大化していますので、お互い利がありませんが、火事場泥棒のような投資法人と投資家にとっては稼ぎ時です。

最近の投資法人のイベントをチェックしていると、低い利回りでの取得が目立ち始めていますが、これは将来の配当原資の問題に目をつむって、スポンサーサイドへのメリット提供に傾いているとも言えます。
REIT市場がバブル化してくると、必ず高値で物件取得を行う投資法人が出て来ますが、その顔触れは以前と余り変わりません。投資家は、取得価格利回りなどチェックしないだろうと踏んで、ポートフォリオにとって大して意味のないような物件を高値で取得します。
勿論、資産運用会社同士は互に物件取得をチェックしていますから、そのような取引は分かりますが、それらを外部に漏らすことはしません。飽くまでも仲間内の酒のつまみとして話題にする程度ですから、当然市場には伝わりませんが、私から見ると、資産運用会社の人員は人事異動で変わっても、相変わらず同じパターンを採るので、スポンサーの意向が強く働く体質なのだろうと思っています。
こう考えると、2014年の最後の締めくくりは余り良いとは言えませんが、来年はもう少し違う状態に変化し、REITが名実ともに成長していると言えるような状態に移行して欲しいと願っています。

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