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2014.11.28.Up Dated.
選挙の争点

 12月14日の衆議院選挙の争点は何でしょうか?
「アベノミクスの効果を問う」というのが最も大きな争点だと思いますが、安倍政権の経済政策の裏には、国債の大量発行によって残高が1,000兆円を越していて、しかもその多くを日銀が引き受けるという財政ファイナンスが隠れています。
日銀の異次元緩和政策も含めると、何れも緊急避難的政策の感がありますので、これらの政策の妥当性よりも、その効果の測定が重要になりそうです。
その効果を端的に表すのが、国内消費動向ですが、公的消費は別として民間消費の趨勢になりますので、自民党も説明が難しそうです。数字を挙げて効果を喧伝しても、国民に実感がなければ響きませんので、今までの評価は高くはないと言えます。
そうなると、消費税増税前の1年間に何が起こせるのかが焦点になりますが、短期間で民間消費を刺激する策となると限られてきますので、選挙後に最後っ屁のような政策を採る可能性があります。「黒田バズーカ」のように言葉だけは勇ましい政策だと想像されますが、悪く言うとヤケになった政策ではないかとも考えられます。
安倍政権は選挙期間中のマスコミ報道にも神経質になっているようで、アベノミクスの負の面を強調されることを嫌っています。政策にはプラスとマイナスがあるのは当然ですから、どちらに焦点を当てるかによって見方が変わりますから、自民党は大政翼賛会的な報道を欲しているようです。
今回の選挙は、自民党が勝てそうな時期を選んで実施したという面がありますが、それでも報道に神経質になるのは余裕のない証拠です。
根本は、どういう評価や報道があろうとも、今後1年間で国民に景気回復が実感出来る状態を作る事に尽きますが、恐らく自信は余りないのだと思います。
結局は、消費税増税に伴って政権交代が行われ、新政権がアベノミクスの負の遺産の処理を担うという事になりそうですので、日本の景気やマクロ経済の動きはそこからが本番になりそうです。
企業を再建する時のように、総花的政策から脱して、限られた資源を集中投資するのが基本になるので痛みが伴いますし、違憲状態の選挙制度改革も併せて大都市集中型になるのは避けられません。
本音では分かっているのですが、中々言えないというのが如何にも日本的だなと思います。

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