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2014. 9.12.Up Dated.
投資家の動向とIR

 REIT市場の取引シェアは、@外国法人 A国内個人 B証券会社自己取引 C金融機関 D投資信託の順になっていますが、これは株式市場でも同じです。
このように日本の投資市場は、外国法人と国内個人抜きには語れないのが現実ですが、この両者は制御されない投資家群だと言えますし、その動きを予測するのが難しい主体でもあります。投資判断も独立して行う傾向にありますし、情報ソースも国内機関投資家とは異なっていますから、投資市場の動きを短期で予測するのは困難だと言えます。
それでも、証券アナリストは予想を立てないと商売になりませんから、色々なコメントを発しますが、この取引構造では評論の域を出ないはすです。
個人については、数が膨大なのとそれぞれ固有の事情があるので、一括りで見るのは無理ですから、常にある一面を見るに過ぎないと言えます。
又、外国法人と言ってもその内訳は多様で、欧米、産油国、アジア等の地域別特徴もありますし、一律に見ることは出来ません。更に、外国法人の中でも欧米投資ファンド等は日本の証券会社を信用していない節があり、証券会社情報を軽視しているとも言えます。
こうなると、両者の投資判断の傾向や趨勢を見るのは「群盲象を撫でる」の感になりますから、予想が当たらないのも当然だとも言えます。
まして短期売買を行う株式市場では、日々の動きを説明するのは不可能だとも言えますが、これはREIT市場にも当てはまります。
かつては、機関投資家や証券会社が上手く売り抜けて個人がババを掴む、古き良き時代もありましたが、こんな不公平な時代はとうの昔に過ぎ去りました。
これが今の現実ですが、一方で発行主体は依然として、旧態依然のIRに頼っています。
確かに個人への働きかけは難しいですが、海外まで行って慣れない言葉でIRをしなければならない海外投資家よりは身近なはずです。個人投資家へのIRを「嫌だから、面倒だから」と言って放置していては一歩も進みませんが、会社組織に慣れた人達は、直接個人を相手するのは最も苦手とします。
何故かと言うと、一番は怖れだと言えます。 個人(外国法人も同じ)には肩書も通用し難いですし、暗黙のルールも容認してくれませんから、個々の相手するのは躊躇いますが、その考えの深層には、自分も個人の立場に戻れば組織の一員としての考え方とは違うという意識がある為ではないかと思います。
この心理が行動にブレーキを掛けているのではないかと推測されますので、この呪縛からどう離れるかが、本質論のような気がします。

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