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2013.10.18.Up Dated.
NISA口座と課税口座の使い分け
 
 NISAを始めるに際して従前の投資をどうするかという問題があります。
なぜなら、来年から有価証券取引税が本則の20%(今は軽減税率の10%になっている)に戻りますし、NISAには従前に購入した投資商品を移管することは出来ませんから、先ずは、従前の投資をどう整理するかが問題になります。
結論から言うと、今後も上昇局面が期待される場合は、敢えて年内に売却せずにそのまま保有するという選択になりますが、上昇幅がどの程度あるかという見込みによります。
例えば50万円で購入した商品が55万円になっていた場合は、年内に売却すれば税金は5千円(手取りは545千円)、来年以降は1万円になりますから、来年の上昇によって56万円(手取りは548千円)になれば、保有していた方がプラスになります。
こう考えると、敢えて年内に利確する必然性は薄いとも言えます。
特に、来年からのNISAによって投資市場に新たな資金が流れ込みますから、基本は上昇基調という見方になりますので、焦る必要はなさそうです。
REITの場合、キャピタルゲインが大きいという事はそれだけ高配当利回りになっているはずですから、目標としている配当利回りが確保されていれば、そのままホールドするのがベターです。
但し、潤沢な資金を投資に回せる人だけではありませんので、既存の資金でNISAに乗り換えようとする場合は、少し考えなくてはなりません。
この時、最も重要な事はNISA投資を基本から考え直す必要があります。
NISAは打出の小槌でもありませんし、大きな利益を期待する投資ではありません。
投資した資金が2倍・3倍になるという期待感を持つなら、NISAではなく一般投資で行い、万一損をした場合は損益通算を行う方が良いです。
以前書いたように、NISAは年4%程度の利回りが十分に期待出来るという投資が向いています。
長期保有では、配当益を前提にして投資収益を確保すると言うのが投資の原則ですから、合理的な配当率が期待出来る配当型投資商品を選ぶのが普通です。
又、配当を再び投資に回して複利で利回りを得るという考え方もありますが、これは投資リスクを更に増やすことになりますから、果実は確実に得ておく方が賢明です。
仮に、投資信託などで90万円を投資して毎月の分配金をそのまま投資する場合、年6%の配当(配当益と売却益)があれば、954千円の投資金額になりますが、投資元本価値が6%下がってしまえば利益はありません。
投資市場で6%程度の変動は普通ですから、投資元本価値の変動>投資収益になりますので、収益は確実に回収しておいた方が良いのです。
即ち、投資を複利にすれば利益が大きくなるという考え方は、投資家サイドに立てば、NISAの考え方ではなく、売り側にとって都合の良い投資スタイルなのだと覚えておく必要があります。

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