コラムトップ
2013. 9.13.Up Dated.
SIA不動産投資法人の上場
 
 SIA不動産投資法人が10月9日に上場予定と発表されました。
この投資法人の上場は噂にもなっていませんでしたからやや意外な感もありますが、元々2006年〜2007年頃に上場を計画した経緯があります。
その時は、結局上場を発表することなく立ち消えになりましたが、資産運用会社はそのまま存続していたようです。
この投資法人のスポンサーのシンプレクスは、かつては証券会社系の不動産私募ファンドとして名を馳せていて、REITの保有資産の売却先になったこともあり、一時はダヴィンチ、パシフィックマネジメント、クリードやケネディクスと並んで私募業界では有名なファンドでした。
今日では、上記の私募ファンドで残っているのはケネディクスだけですが、シンプレクスも存続していたようです。
そのような経緯もあってSIA不動産投資法人の上場時組成資産は、私募ファンドのそれと近似です。
保有オフィスビルは17棟となっていますが、その平均築年数は22年となっていて、新規上場としては築古だとも言えます。
尤も、築年数を経ているのならば、それなりの収益利回りが確保されていれば、一応はバランスしますが、目論見書では過去の賃貸収支が全く公開されておらず、どの程度の利回りなのかは不明です。
今日のオフィスビル市場を見れば、稼働率推移や賃貸収益の内容は投資判断には欠かせませんが、これらをブラインドにして上場してくるのはREITでは初めてかも知れません。
この情報公開姿勢を好意的に解釈すると、稼働率や賃貸収益は大きく変動し過ぎていて判断材料としては不適当だと考えたのかも知れません。
確かに、SIA不動産投資法人の組成資産となるオフィスビルクラスの変動はここ数年では大きいですし、賃料もかなり下落しましたから、これらをストレートに出すとマイナスに偏り過ぎると踏んだのかも知れません。
それにしても、REITの上場では必須とも言える情報を出さずにブックビルディングに入って成算があるのでしょうか。
今のREIT市場は悪くはありませんが、雰囲気だけで通過できる程良いのかは分かりません。
そういう意味ではSIA不動産投資法人の上場はREIT市場の実態を映し出してくれるとも言えると思います。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.