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2013. 9. 6.Up Dated.
NISAの考え方
 
 10月1日から始まるNISAの申込開始を受けて金融機関の勧誘が活発化しています。
新聞広告も多くなりましたし、電話による勧誘も増えていますが、肝心なNISA投資の考え方については余り触れられていません。
NISAは長期で保有する投資になりますから、その前提で考えると次のようになります。

@ 保有期間中に具体的な投資収益が得られる事
保有している期間に、計算上の収益ではなく、現実に享受出来る投資収益が得られるという点が、最初のチェックポイントになります。
株式であれば配当金又は株主優待がこれに該当しますが、配当金はさしたる額ではありませんから、株主優待の内容のチェックが必要になります。
次に、配当型投資商品として作られ、NISAの対象となるREITが本命とも言えますが、現在の投資口価格だと年換算配当率はREIT全銘柄平均で4.5%前後ですから、投資収益としてはかなり魅力的です。
長期投資専門のファンドでは年間リターンが5.0〜5.5%程度を目途としているケースが多いですから、REITであればこの目標リターンに近づきます。
逆に見ると、これ以上の投資収益を期待すると長期投資ではなくなるとも言えますので、目標リターンによって長期投資か短期投資かに分かれると考えるべきです。

A 保有期間中の投資元本(株価等)の考え方
これはシンプルに考える事が出来ます。即ち、元本が目減りするような局面(株価等の下落)はスルーします。
株価やREITの投資口価格は長期では循環変動しますから、下がったからと言って何もする必要はなく、期間中の収益を享受していれば良いのです。
逆に、上昇した時の方が難しく、売るべきかそのままホールドすべきかを迷います。
REIT投資の場合は元本が50%以上した時が判断の分かれ目になりますが、これはREITの過去の動きをから、総合収益(配当益+値上がり益)10%/年が一つの目安だからです。

B 年間の100万円枠の使い方
直ぐに100万円を投資する必要はなく、投資タイミングを見計らって、配当率が高くなる時(投資口価格が少し下がった時)に投資する方が賢明です。
株式投資のように、上昇局面で投資するという姿勢はNISAに向きませんので、これはNISA以外の一般投資で行うべきです。

C ポートフォリオについて
100万円でも投資ですから、投資リスクヘッジの為の分散が必要なので、1本買い(REITの1銘柄だけの購入)は避けましょう。
米国の個人投資家の保守的な投資姿勢では、投資ポートフォリオをボンド(国債や社債)50%、REIT30%、ストック(株式)20%という分散をするのが基本のようですので、これに習うと、国債・社債はNISAの対象になりませんから、REIT80%、株式20%になります。
尤も、売買によって投資収益を出す株式投資は必ずしもNISA向きとは言えませんから、REIT90〜100%、株式0〜10%が良いのかも知れません。
こうなるとREIT41銘柄の中から選んで分散投資をしてポートフォリオを作ると言う考え方が現実的です。
REITは投資法人によって投資対象不動産の用途が異なっていますから、配当金の原資になる賃貸収益が同じ動きをしない銘柄を選ぶことになります。
他には投資信託がありますが、投資は自己責任ですから、投資収益をファンドマネジャーに依存して、リスクのみを受け取るのは考えものです。
米国のように先に投資家の収益が確保され、残余が報酬になるような制度であればまだしも、投資家が損をしても報酬だけは取られるという仕組みではどうかと思います。
投資は自己責任ですから、飽くまでも自分の判断で行うのが常道ですので、間接投資になる投資信託は一考の余地があると思います。

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