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2013. 6.14.Up Dated.
REITをどう見るのか?
 
 今週の東証REIT指数の推移をみると、月曜日に1,284.79で始まり、木曜日には1,246.28まで下がりましたが、週末には1,315.50と反発しました。
日銀も市場の軟調化を意識してかREITの買入枠を上積みする可能性を示唆したようですが、恐らく枠を増やしただけで直ぐに買入を増やす訳でもなさそうです。
一部のマスコミでは、投資口価格が下がると、如何にも良くないような論調になりますが、REITのような配当型商品の見方としては正しくはありません。
現在の投資口価格で見ると、全上場銘柄の平均予想分配金利回りは4.3%/年前後ですから、長期保有の投資家にとってはどうにか納得出来る水準です。
本音としては、昨年秋頃の5.0%台も期待したい所でしょうが、この水準は暫く無理でしょう。
一方、3〜4月の3.0%台/年は過去のREITでもピークに該当しますから、この水準でのREIT投資はあり得ません。
従って、REIT投資はどの程度の利回りで動くかがポイントになりますから、投資口価格が上がればタイミングが遠ざかりますので、今は比較的良い状況だと言えます。
これは国債も同じことで、10年物国債の利回りが乱高下していますが、一時(4/4)の0.442%の利回りは異常です。 10年間保有で、この程度の配当利回りでは納得出来るはずもありません。
現在の0.8%台でさえも満足は出来ないと言えますから、市場の良否の見方が何処かおかしいのではないかと思います。
尤も、短期売買によって鞘抜きだけを考えている主体にとっては、価格が上昇基調にならないと大きく稼げませんから、彼らにとっては、REITも国債も芳しくはありません。
彼らの側に立てば、確かに下方調整局面は面白くありませんが、純粋に商品に見合った投資を行う側に立てば、逆の見方になります。
日々、浮利を追う主体に肩入れして市場を評価するのが正常な見方なのかを考えてみて欲しい所です。
日銀も景気対策としてこうした主体に迎合する面もありますが、確かに短期的には効果があるかも知れませんが、それが一体何になるのかという疑問もあります。
今は、個人の資金を投資市場に誘引しようしていますが、このような風潮では、個人にババを掴ませようとしているのではないかと勘繰りもしたくなります。
個人投資の立場に立てば、REITはそろそろ投資タイミングになってきたというのが本来の見方です。
そして、納得出来る価格(利回り)で投資したら、そのまま動かさずに保有するというのが普通の見方ですが、これでは証券ビジネスは面白くありません。
こんな事から、一部のマスコミはどうしても価格上昇局面をもてはやしますが、これをおかしいという発言が増えないのも不思議な気がします。
尤も、こんな状況がずっと続いていますから、不当な見方も何度も繰り返して叫べば正当な見方として定着します。
これが、作られた投資市場の見方の主流なのではないかと思います。

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