コラムトップ
2013. 5.31.Up Dated.
少額投資非課税制度(NISA)について
 
 2014年1月から少額投資非課税制度(略称;NISA)がスタートします。
これは専用口座を開設し100万円/年までの投資であれば、譲渡益と配当金が非課税になる制度で5年間最大500万円の投資が可能となります。
但し、この非課税枠は、投資商品を売却してしまえば、その年の非課税枠は減少してしまいすから、基本は保有型投資商品になります。
典型的な利用方法は、金融機関(証券会社を含む)に専用口座を開設してその口座から 100万円の投資を行い、配当金を受け取るような投資になります。
仮に、投資商品の元本が値上がりして、そのうち50万円分を売却してしまえば、その売却益は非課税ですが、売却した50万円分の非課税枠は消滅します。
従って、基本は投資商品の価格変動に余り左右されない投資商品になりますから、株式投資では使い勝手が悪くなります。
こう考えると、比較的配当率の高いREIT投資が最適だと言えます。
投資するときのタイミングさえ間違えなければ、REIT投資の過去の実績から見ると、10%/年程度の総合リターンも可能ですから、かなり魅力的だと言えます。

次に、この制度によってどの程度の資金が投資に流れるかを計算すると、少なくとも年間10兆円位にはなると想定されます。
REITの時価総額を遥かに超えますから、 投資信託等にも分散されると考えられます。
仮に、REITには3割程度が流れるとしても、その影響は非常に大きくなりますから、REITにとってこの投資資金を取り込むことが出来るか否かは今後を大きく左右します。
既に投資口分割を行ってこの制度に対応している銘柄も15銘柄ありますが、今後も投資口分割を行う投資法人が増えると予想されます。
逆に、この制度に対応出来ないような投資口価格になってしまっている銘柄がこの制度を看過すれば、本来のREITの姿から離れてしまいますから、何れは私募ファンドに衣替えするか、又はプロマーケットに上場替えする方向になるかもしれません。
少額投資と言っても投資であることにかわりありませんから、当然ポートフォリオを組む必要がありますから、最低5銘柄分散と考えると、投資口価格は少なくとも10万円台/口である必要があります。
そして、少額投資制度の投資対象となった投資法人は、増資にライツ・オファリングを使えば、翌年の投資対象にも選ばれますから、お互いにとって望ましい関係になります。
遡って、REITの創設の意義から考えても、少額投資非課税制度への対応は必須ですから、原則は全ての投資法人が動くべきだと言えるのと、これにより投資口価格の安定も期待出来ますから、REITにとってはメリットがあります。

問題は個々の投資家がどのような銘柄を選別しポートフォリオを組むかですが、REITの投資銘柄選別は難しく、解説出来る専門家が少ない事が挙げられます。
但し、これは少額投資非課税制度の拡大によって徐々に埋められていくだろうと考えられます。
純粋に投資家サイドに立った専門家が登場するようになれば、日本の投資シーンもかなり変わっていくと考えられますので、この制度は投資インフラ整備の起爆剤になるのではと期待しています。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.