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2013. 4.19.Up Dated.
ファンドバブル期との違い
 
 REIT市場の月間売買高がこの3月に2兆円を超えました。
過去に月間売買高が2兆円を超えたことはなく、2007年2月の1.8兆円が最高でしたから、記録更新になった訳です。
REIT指数の月間変動率も2007年7月の96.17を超えて、97.65になりましたから、価格の動きが最も激しかった月となりました。
東証REIT指数は3月27日に1,700.91に達し、この数値がピークになりましたが、これ以上はファンドバブル期の水準に入りますから、流石に憚れたのだろうと思います。
今回の上昇相場の特徴は短期間に一挙に上昇したこともありますが、それに加えてアベノミクスや黒田バズーカ―と言われるマクロ経済政策によって急上昇したことです。
今回が果たして例外なのか否かは分かりませんが、従来REITはマクロ経済の動きに対して遅行性があって、且つ、影響度が相対的に小さいと思われていましたが、そのような見方は完全に消えてしまったとも言えます。
然しながら、このような新たな傾向が今後も続くとは限りません。 投資市場全体がお祭り状態になっている時は、通常の見方は通用しませんから、これがREITのこれからの特徴になるとは速断できません。
但し、以前に比べればREITの値動きが大きくなるのは否めませんから、今後の変動幅も大きくなると考えられます。
同じような状況はファンドバブル期以前に起こっていて、日々の投資口価格の動きが大き過ぎて、分配金の多寡では銘柄選別の根拠にならないという時もありました。
その為、値動きのない私募ファンドの方が良いのではという考え方から、不動産私募ファンドの組成が活発化しましたが、今回もそういう方向に動くのかと言うと、必ずしもその兆候はありません。
その理由は、投資家が過去の私募ファンド投資で痛い思いをしているからで、投資市場では学習効果が働いていますが、不動産市場は相変わらず賃貸マンション投資の勧誘が活発化しています。
これは不動産業界の常で、悪い時はじっとしていて、良くなると過去を忘れたように動きを活発化するという訳です。
こんな事を過去何十年も繰り返していますから、40年以上不動産を見てきた私にとっては呆れる限りです。
尤も、過去のヒストリーを知らない世代が次々と出てきますから、こういうビジネスモデルでも成立するのかも知れません。
しかし、来年の今頃には恐らく又沈黙するのだろうと考えていますので、調子に乗れるのは一時期だろうと思います。

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