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2013. 3. 8.Up Dated.
投資口価格の行方
 



前掲のグラフは、東証REIT指数が上昇を始めて1,200ポイントに達した2004年2月2日から昨日までの推移です。
初めて1,200ポイントに達した2004年2月と言うのは、前年夏まで6銘柄だったREITが11銘柄に増え、更に銘柄数が大幅に増加すると予見され、市場が拡大に向かう時期でした。
実際に、リーマンショックまでの3年間で41銘柄に増えましたから、この時期は、正にREITの拡大期でした。
この傾向に拍車を掛けたのが、所謂ファンドバブルで、本来は1,500〜1,600ポイント前後で推移しそうな水準を押し上げ、最後は2,600ポイントまで上り詰めてからリーマンショックで急落しました。

この時の状況を今日と比べると、昨年から今年に掛けて新規上場が6銘柄になり、銘柄増では同じように見えますが、今後の銘柄増加は余り見込めず、せいぜい全体で50銘柄程度が上限ですから、2004年のような拡大期とは言えません。
そして、その後の急上昇を演出したファンドバブルのような事態は想定されませんが、一部のマスコミでは無理に煽っている感があって、今後も大きく上昇するという期待感を持たせようとしています。
相場の提灯持ちのようなマスコミの論調に踊らされずに冷静に見れば、現在の東証REIT指数1,400ポイント弱はほぼ上限だと言えますが、短期売買主体によって相場を作られている状況では何処まで上昇するかは予測が付き難く、短期的には1,500ポイントもあり得ます。
但し、これから3月末に掛けてはチキンレースのような状態ですから、何時調整が入るのかを戦々恐々として取引すると思われます。
尤も、戦々恐々という気持ちが失われればそれはバブルですから、未だ正気だと言えるかもしれません。
REITをインカムゲイン投資商品だと考えれば、昨年12月から今年1月の1ヶ月間で利回りが0.5%も変動するのは大事ですが、株式投資のようなキャピタルゲイン商品だと割り切ってしまえばそれも無視できます。
本来の商品が持つ性格を離れて投資口価格が形成されるようになれば、それはただのお祭り騒ぎですから、何れは祭りの後が訪れます。
この祭りの後が来るのは分かってはいるのですが、それでも止まらないというのが祭りの心理状態ですから、せめてその辺は覚悟しながら祭りに参加するのが必要だと言えます。

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