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2013. 2. 8.Up Dated.
REIT投資は慎重に
 
 東証REIT指数が1,200ポイントを超え、更に伸びる勢いになっていて、3月中には1,400ポイント到達もありそうです。このような上昇局面は悪い事ではありませんが、投資口価格が徒に上昇すれば、REITのメリットである高い配当率という要素を減じてしまうので、手放しでは喜べません。
既に、一時期のような平均予想配当率5.5%/年は遠のき、4.5%に向かって動いていますが、更に下がれば株式の配当率に近づいてしまいますから、インカムゲイン投資商品の範疇からは逸脱します。
一方、上昇局面ならば投資口売却益が得やすいとして、短期売買は勢いづきますが、本来のREIT投資にとっては迷惑でもあります。
過去の実績では、3年以上の保有ではインカムゲイン(実現利益)+キャピタルゲイン(含み益)の総合リターンが年平均で10%超もあり得ましたが、投資口価格が上昇し過ぎればキャピタルロスのリスクが生じて、総合リターンの魅力がなくなります。
このようにREITは株式とは投資スタンスが異なりますが、それを理解せずに闇雲にREIT投資に手を出すと火傷もします。
現在のREITを冷静に見ると、運用側のプラス要素で投資口価格が上昇しているのではなく、投資市場全体の上潮の雰囲気の中で動いているに過ぎません。そして、相場形成の中心は短期売買主体になっていますから、売り抜くことが前提となっています。
市場を見ると、REITにとって必要な長期保有主体は余り見かけなくなっていますから、このまま上昇すれば、正にチキンレースになってしまいます。
株式投資であればそれもやむを得ませんが、REIT投資では決して良い状態だとは言えません。 又、運用側にとって、根拠が乏しいままに投資口価格が上昇すれば、外部成長の基準が甘くなって高値取得に走る可能性もあって、この場合は、長期のパフォーマンス低下の原因になります。
かつては、そんな事をお構いなしに高値取得を続けた結果立ち行かなくなった銘柄が続出し、合併によって整理されましたが、又、その轍を踏むようでは困ります。
短期売買によって鞘を取ろうとする投資家群に踊らされれば、損をするのはこつこつと買い進むREIT本来の長期保有投資家になりますから、資産運用会社はこの事を肝に銘じて、REIT本来の投資家を見据えて冷静に見て欲しいと思います。

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