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2012.12.14.Up Dated.
GLP投資法人のIPOについて
 
 GLP投資法人のIPO価格が60,500円/口に決まりました。この投資法人の基準価格は上場前に投資口を8分割したので、50万円÷8=62,500円ですから、3.2%のディスカウントになりました。
国内・海外を合わせて1,000億円規模のIPOですから、ある程度のディスカウントは仕方ないとも言えますが、当初予定の国内募集1,105,025口→967,438口に変更、海外募集642,075口→779,662口に修正されました。
従来のIPOでは、海外募集を減らして国内に振り向けるケースが多かったですが、GLPは逆になりました。
これは国内よりも海外での認知度が高かったとも言えますし、スポンサーのGIC(シンガポール政府投資公社)のクレジットが寄与したのかも知れません。
国内市場では外資というと何となく忌避する傾向もありますから、こういう結果も止むを得ないのとも言えます。
又、上場後の運用にもこういう見方が適用されますので、資産運用会社はこの点を十分に意識した姿勢が必要になります。
資産運用会社の代表者は三井不動産出身となっていますが、その他の人員構成は不明ですから、どういう経歴の人達によって運営されるかは未だ分かりません。
但し、目論見書を読むと日本のREIT事情を斟酌している跡が窺えますから、外資特有の姿勢ではないのかもしれません。
そして、この投資法人の特徴として、分配金に減価償却費の一部を回す方針を示しているのが注目に値します。
この分配方針は、税法上は投資元本の払い戻しに該当しますから、投資家の事務負担が増える為に、従来のREITは行いませんでしたから、新しい試みだと言えます。
この点については功罪がある為に、一概に良否を言えませんし、財務構造のバランス次第ですから、実際の運用状態を見なければ判断は出来ません。
ただ、こういう特徴を出すという姿勢は評価できると思います。既存REITに埋没せずに独自のカラーを出そうという姿勢は、後発組にとっては必要な事ですし、ややもすれば横並び意識が先行するREITにとっては良い刺激になるかもしれません。
こういう意味でも、この投資法人の上場後の動きは十分に注目に値するのではないかと考えています。

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