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2012. 4.20.Up Dated.
ケネディクス・レジデンシャル投資法人の上場
 
 ケネディクス・レジデンシャル投資法人のブックビルディングが終了し、公募価格は190千円/口で落着しました。基準価格は200千円/口ですから、5%ダウンならば上々の出来だと言えます。
先発銘柄との比較で見ると、スターツ・プロシード投資法人が近似になります。スターツ・プロシード投資法人の投資口価格が120千円/口前後で推移していますから、悪くするとブックビルディングが150千円/口以下になり、上場中止もあり得るのではないかと懸念していました。5年ぶりの上場が中止されれば、今年に上場を予定している他の投資法人にも影響を与えますから、先ずは最初のハードルは超えられたと思います。
尤も、ケネディクス・レジデンシャル投資法人の資産規模は比較的小さく(取得価格で約305億円)、IPOでの調達額も約136億円とREITとしては小振りなため消化されたとも言えます。これが3倍ぐらいの調達額になると果たしてどうなのかという懸念は依然として残りますので、必ずしも今年の上場は楽観出来ません。

次に、ケネディクス・レジデンシャル投資法人の今後はどうなるのかを予想すると、残念ながらIPO価格が上限ではないかと考えられます。
REITレジデンス系銘柄で投資口価格が基準価格を超えているのは大和ハウス・レジデンシャル投資法人と日本アコモデーションファンド投資法人だけで、両者とも基準価格の108%前後に留まります。実績や内容ではこれら二者に比べて劣りますから、暫くは100%以下でも仕方ないと言えますので、問題は何処まで下支え出来るかです。
資産運用会社は、IPOに応じた投資家に応えるためにも、投資口価格の下方抑制に力を注ぐべきですが、どういう手段があるのかは不明です。今月実施するJ-REIT実務セミナーでは、投資口価格の形成要因や各銘柄の動き等を解説する予定なので、こういう考え方も参考にして頂ければと思います。
勿論、資産運用会社が投資口価格をコントロールすることは出来ませんが、財務指標を使って理論的価格を推定することは出来ます。取引市場でのREIT投資口価格の変動率が大きい現状を見ると、やはり何らかの手段で投資口価格の参考となる指標を作らないと、インカムゲイン投資商品というのはお題目だけになってしまうと懸念されます。

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