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2012. 1.16.Up Dated.
投資の意味
 
 投資とは、通貨を使って特定の対象物を購入し、その購入した商品からの利を期待する行為ですが、投資を行う動機は投資家によって異なります。
例えば、機関投資家やファンドでは、単純にそれが仕事だからだと言えます。 即ち、投資を行う事自体に意味があるのではなく、単に仕事としているのですから、投資判断や実際の投資行為は一般的な仕事の進め方に則ります。そして、日本では投資範囲は組織によって予め定められていますから、その基準に沿って担当者は行います。
従って、投資の成果についても、基準の範囲内で求められますから、現在のように株式市場が低迷している場合はエクスキューズされますから、必ずしも迅速に対応する必要もなく、そのまま株式投資を続けることも可能です。
一方、個人投資家の場合は、本質的に機関投資家やファンドとは異なった目的を持っていると言えます。個人が投資を行う動機は、収入を増やしたり資産を増加させたりすることを目的としますが、最終的には、自己の生活向上が目的です。

所が、人間の欲求には際限がなく、投資が自己保存の最有効手段と考えてしまう場合もあります。
例えば、大きな天災や経済恐慌等に備えられるような投資という考え方もしますが、これは明らかに生活向上という考えとは一線を画します。
先日のセミナーでも、ドル崩壊のリスクについて質問がありましたが、現在の基軸通貨であるドルの信認が無くなるような事態を想定して、それに備えるような投資を考えるのは、所謂「悪魔のシナリオ」ですから、それは必要がないでしょうと答えました。
仮に、自己保存を大きく揺るがすような事態が起こった場合、頼るべきは自らの臨機応変な対応力だけです。
昔、両親に聞かされましたが、第二時大戦中に何度も空襲に遭い、逃げた方向によって生死が分かれたと言います。 母親は4歳の時に関東大震災に遭遇しましたが、この時は母子共々死を覚悟したようですが、幸い出入りの大工さんが駆けつけてくれて、避難出来たとの事です。
こいう話を聞かされていると、「まさかの時の備え」を投資で行うという考え方にはなりません。従って、投資とは飽くまでも生活向上を目的とした手段ですから、なるべく継続的に行えるよう、理論的に考え、合理的に行動することが必要です。
特に、個人投資家はプロ投資家のように仕事として捉えている訳ではないので、論理性と合理性はより強く意識する必要があるのではないかと思います。

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